働き方改革による副業や兼業の働き方とは?業務委託の働き方とは

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 働き方改革   パーマリンク

働き方改革という言葉に、「何となく労働環境を整える」イメージはあっても、具体的にが変わるか把握していない人が多いのではないでしょうか。

近年、副業・兼業やパラレルワーク、フリーランスなど1つの会社に所属する以外の働き方が増え、「業務委託」にも注目が集まっています。

そこで今回、副業や兼業の業務委託は会社員として働く場合とどんな違いがあり、働く上でのメリット・デメリットは何なのか、業務委託として働く前に知っておくべきポイントを紹介していきます。

■働き方改革の目的とは
働き方改革とは、日本政府が掲げる一億総活躍社会を実現すべく、多様かつ柔軟な働き方を国民一人ひとりが選べるようにするための改革です。働ける環境や機会は、その人の状況によって大きく異なります。

例えば昨今、働き方改革の一例として挙げられるのがリモートワークの推奨です。これに伴い、地方にある就労機会の格差を解消しようと取り組みが進んでいます。日本における労働力の主力は、15~64歳(生産年齢人口)といわれています。

ただ、少子高齢化の影響に伴い、1990年以降は生産年齢人口が減少しているのです。2020年時点での生産年齢人口は、約7,406万人ですが、2065年には約4,529万人まで減少する見込みとなっています。

このままでは国としての生産力が低下していきます。働き方改革は労働力不足を解消していくことが背景にあります。労働力不足を解消するためには、主に以下の3つの実現が必要です。

1、労働人口の増加
労働の資本は、人そのものです。労働に携わる母数が増えることで、労働力の総量が大きくなるため、インパクトの大きい対策となります。どんな人でも働ける環境を整備することは、労働機会の創出にもつながります。

2、出生率の上昇
どれだけ働き方改革を推進しても、日本全体の人口が縮小傾向にあれば、労働人口も次第に減っていきます。出生率を上昇させるためには、教育の無償化の拡充や、経済的に子どもを育てられない人たちに対しての支援などが必要です。

3、労働生産性の向上
労働者一人ひとりの生産性を向上させることで、労働力の総量は増大します。労働力とは、すなわち労働人口と生産性のかけ算です。この2つを大きくしていくことで、労働力は向上します。

こうした課題を解決し、一億総活躍社会実現に向けて始まったのが「働き方改革」です。

■業務委託とは? 会社員との違い
業務委託とは、雇用関係のない企業から仕事を委託され、特定の業務を行うことで報酬が支払われる働き方のことを指します。会社員と業務委託で働く場合とどんな違いがあるのかを知るために、まずはそれぞれの契約形態について整理していきましょう。

●雇用契約(会社員)
雇用契約は、正社員や契約社員、アルバイト、パートなどが会社と結ぶ労働契約です。社員は会社の従業員として、決められた時間分の労働力を会社に提供し、その対価として時給や月給といった「給与」が支払われます。

会社と社員は、雇い主と従業員という主従の関係になり、仕事の進め方などについて雇い主から従業員への指揮命令権が発生します。

●業務委託契約(フリーランス・副業・兼業)
業務委託契約は会社が業務を外部の企業や個人に委託する際に行う契約です。これを受けた側は、労働力ではなく仕事の成果を提供します。

会社員とは異なり、会社と雇用関係を結ばず、対等な立場で業務を遂行します。そのため、会社側から業務の進め方に対して、指揮命令を受けることは原則的にありません。

また、「何時から何時まで働いてください」という時間的な制約を受けることも基本的になく、あくまでも委託された業務を遂行すること、もしくは成果物を完成させることで業務委託の「報酬」が支払われます。

■業務委託=個人事業主(フリーランス・副業)
業務委託で個人として働く場合、企業と雇用関係を結ぶ「労働者」ではなく、対等な関係である独立した「個人事業主」として仕事を受けます。

会社員として働きながら、副業で仕事を引き受ける場合や例外はなく、業務委託で仕事を受けるケースがほとんどになります。

副業とは、本業とは別に副次的に行う仕事のことです。複数の収入源を確保することを目的に本業と並行して働くダブルワークになります。

近年では、キャリア形成や社会貢献、パラレルワーカー、独立に向けたステップなど、様々な目的を持って副業を希望するプロ人材が増えています。

注意点としては、正社員の場合もスキルや資格、実績によって給料が異なるのが一般的ですが、業務委託で働く場合には、専門家として働く立ち位置になります。

そのため、「難易度の高い仕事をできる」「正社員では困難な仕事ができる」「成果物のクオリティが高い」ということが、人材価値を高める要素になるため、結果として高い収入を得ることに繋がります。

クラウドソーシングサービスなどでは、ロゴマークのデザインなど高度なスキルや経験が不要で、在宅勤務のリモートで誰でもすぐに始めることができる案件が多く募集されています。

しかし、そのどれもが非常に低い単価で募集しており、コンペ型で競争が厳しく、依頼内容も単純作業など労働集約的な請負的な仕事のものがほとんどです。

また、フリーランスや副業として業務委託での働き方にチャレンジする際には、個人事業主として開業届を提出し、確定申告を行い納税する義務があります。

■業務委託として働くメリット
・自分が得意とする分野の業務のみを行える。
・時間や場所など働き方の自由度が高い。
・提供する価値次第で収入を上限なく増やすことができる。
・望まない業務を依頼された場合に断ることができる。

業務委託として働く最大のメリットは、時間や場所に縛られず、得意な分野の業務のみ行えるということでしょう。勤務地や勤務時間がきっちり決まっていることの多い会社員と比べると、業務委託は働き方の自由度が高いと言えます。

また、一つひとつの業務に対する報酬がはっきりと分かるという成果の見えやすさがモチベーションにつながっている人もいるようです。更に、業務委託はやればやった分だけ報酬を得られるため、自分の裁量によって高収入を目指すことも可能です。

■副業や兼業の働き方が推進されている背景
働き方改革で副業や兼業が推進されている背景には、労働時間管理に対する考え方の変化も密接にかかわっています。

かつての日本では、企業と労働者の関係性は企業が上位であり、私生活を犠牲にしてでも企業に貢献するという考えが一般的でした。

しかし、近年では労働者の健康や「ワーク・ライフ・バランス」を重視する考え方が浸透し、心身ともに健康で豊かな社会生活を送ることに重きを置く傾向が顕著になりました。

厚生労働省では、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日 働き方改革実現会議決定) を踏まえ、副業・兼業の普及促進を図っています。

具体的には、平成30年1月、副業・兼業について、企業や働く方が現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめたガイドラインを作成しました。

更に企業も働く方も安心して副業や兼業を行うことができるようルールを明確化するため、令和2年9月にガイドラインを改定しました。

■働き方改革における「3つの柱」
働き方改革を推進するには、「長時間労働の解消」「正規・非正規の格差解消」「柔軟な働き方の実現」という、3つの柱を確立することが重要です。これらは、日本が抱えている大きな課題となるため、企業としても積極的に取り組む必要があります。

1、長時間労働の解消
長時間労働は疾患のリスクを高め、過労死につながる恐れがあります。特に、日本の労働時間は、諸外国と比較しても非常に長い傾向です。そのため、メンタルヘルスへの悪影響が懸念されています。

2、正規・非正規の格差解消
1980年代より、非正規雇用労働者の数は増加傾向です。1984年の非正規雇用労働者の数は、約604万人でしたが、2020年は2,090万人と約3.5倍も増加しています。

多くの企業で正規雇用者と非正規雇用者が混在していますが、同一の労働内容にもかかわらず、賃金や待遇の面で格差が生じるケースが少なくありません。

こうした不合理の格差は、就業機会の損失につながります。

3、柔軟な働き方の実現
ライフスタイルや、キャリアパスは人によって異なります。そのため、すべての人が同じ枠組みで働くことが適切とはいえません。例えば、出産の前後数年といったケースでは、従来の時間通りに働くことは難しいでしょう。

しかし、組織の受け入れ体制が万全であれば、リモートワークなどで柔軟な働き方で対応することも可能です。

■働き方改革のメリット・デメリット
コロナ渦の影響により、リーモートワークを推進する企業が急速に増えたことで、働き方改革という言葉が少し浸透しつつある状況ですが、従業員や企業には、どのような影響があるのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

■従業員目線のメリット・デメリット例

<メリット>
時間外労働の規制により、長時間労働が改善しワークライフバランスが実現する。
同一労働同一賃金の推進で、雇用形態による待遇の格差がなくなる。
キャリアアップやライフステージに合わせた働き方を実現できる。

<デメリット>
長時間労働が是正される分、従来にはない業務の効率化が求められる。
対応しきれない会社では、隠れ残業が発生することも懸念される。
残業代によって給料が上がっていた場合は、時間外労働の縮小に伴い給料も減少する傾向にある。

■企業目線のメリット・デメリット例

<メリット>
時間外労働が規制されることで、就業時間内に仕事を進める必要性が高まり、業務の効率化が促進。
結果的に人件費の削減につながる。
働きやすい環境が整備されることで、優秀な従業員の離職率が低下。
柔軟な働き方に対応することで、採用力向上も期待できる。

<デメリット>
業務効率化を進められないと、規制だけが先行することになり、期日までに作業を完了できないなど、あらゆる機会損失のリスクがある。
環境を整備するためのツール導入や人事育成など、一時的なコストが増大する。

■業務委託として働くリスクと注意点
・タスクや体調の管理がおろそかになる可能性がある。
・業務を完遂できなかった場合、損害賠償請求などのトラブルに発展することがある。
・自分で自分を成長させ続けないとキャリアアップが見込めない。

労働時間や業務内容の縛りがない業務委託にとって大切なのは、自分の体調管理やタスク管理を行うセルフマネジメント力です。会社員であれば、体調が悪ければ有給休暇を使って休むという選択肢がありますが、業務委託は休むことが収入の減少に直結します。

食事や睡眠などの健康面はもちろん、自分が身体的・精神的にパンクせずどれくらいの仕事を受けられるかというリソースを把握し、仕事量をコントロールしていくことも必要になります。

また、業務委託は仕事を選べるからこそ、成長する場を意識的に設けないと成長が止まってしまうリスクがあります。会社は社員を育成する必要性があるため、あえて難しい仕事に挑戦させることが多いでしょう。

しかし、業務委託にはそういった機会は与えられません。業務委託で成長し続けたいと思うのであれば、業務以外の場でスキルを磨き、現状のレベル以上の仕事を成功させていく必要があるのです。

■まとめ
働き方改革を推進することは、労働環境の是正につながるため、基本的にはどんな企業でも取り組むべきです。ただ、環境を整えるための体制が社内で用意できなければ、規制が先行するだけで、実態が変わることはありません。

業務委託としての働き方は、時間や場所、収入などの自由度が高い分、問題が発生した場合にすべて自分で対処する必要があるなど大きな責任も伴います。

また、かかわるクライアントや案件が月ごとに変わるといったケースも珍しくありません。それらの変化に柔軟に対応し楽しめる人で、専門性を生かして働きたい人は業務委託で働くメリットを得やすいと言えるでしょう。

■最後に
働き方が多様化する現在、会社に所属するだけでなく、個人事業主として企業と業務委託契約を結んで働くことも新たな選択肢の一つになりました。業務委託と会社員として働く場合との違いを見比べたうえで、自分に合ったワークスタイルを選ぶようにしましょう。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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