ビジネスは、世の中で起きている問題や課題の解決策を見つけ、顧客の課題を解決へと導くことで世の中を幸せに、便利にしていくことがゴールになります。
課題が大きく複雑であればあるほど、論理的でシンプルに分解する必要があります。
この際、分解方法に漏れやダブりがあると、問題を解決できなかったり、何度も同じ事を繰り返すことになり非効率です。そのような際にフレームワークとなる考え方がMECEです。
そこで今回、MECEとは?新規事業の立ち上げや課題解決にMECEが有効な訳について解説します。
「実験の結果には2つの可能性がある。もし結果が仮説を裏付けたなら、あなたは何かを計測したことになる。もし結果が仮説の反対であったなら、あなたは何かを発見したことになる。」
<エンリコ・フェルミ>
■MECEとは?
MECEとは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取って略した言葉です。各単語は以下のように訳されます。
・Mutually:互いに、相互に
・Exclusive:重複せず、被らず
・Collectively:まとめて、全体に
・Exhaustive:漏れなく
つまり、直訳すると「互いに重複せず、全体として漏れがない」という意味になります。日本語に翻訳する場合には、「漏れなく、ダブりもない」となるケースが多いです。
事業改革書を作成している際などに視野がどんどん狭くなり、細かいところにこだわり過ぎて全体が見えなくなってしまうことが良く起こります。
そのような視野狭窄に陥った場合、俯瞰的に全体を見ながら、漏れなく、ダブりなく見ていく事が大切になります。
MECEを用いると、問題の原因解明や解決までの筋道が整理されるため、事業計画書の作成だけでなく投資家向けのプレゼンテーションも明らかに分かりやすくなります。
■MECEが重要視される理由
複雑で大きな課題を、シンプルで小さな要素に細分化することを「構造化」と言います。
最適な切り分け方の指針となる概念がMECEです。MECEはなぜ重要視されるのでしょうか。MECEという考え方は、ロジカルシンキング「論理的思考」において非常に重要だからです。
ロジカルシンキングとは、着目している物事を要素ごとに分類し、論理立てて整理していく思考法のことです。矛盾が生じないように筋道を立てて考えることで複雑な物事もわかりやすくなり、理解・推論しやすくなります。
ロジカルシンキングのメリットは、客観的に物事をみる事ができ、分析力が向上することにあります。
ビジネスにおいて考えなければならない課題というのは様々な要素が複雑に組み合わさっている場合がほとんどですので、何となくの感覚で整理してしまうと、大きな見落としが発生したりつじつまが合わなくなってしまいます。
そこで分類する際にMECEを意識することで、各要素が独立しつつ全体像も捉えられるので、矛盾なく論理を組み立てることができるようになります。
■MECEはビジネスでの応用例
ビジネスでは、客観的で論理的にものを考える力が求められるため、ロジカルシンキングが必要不可欠です。MECEという考え方を理解して実行することで、ロジカルシンキングの実現が可能になります。
・戦略立案
・市場調査/マーケティング施策
・商品企画
・業務改善
・組織/制度の見直し
■MECEで論理的思考をする2つのアプローチ
MECEで論理的思考をする際には重要なアプローチ方法が2つあります。以下で、それぞれについて詳しく解説します。
1、トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチは、全体をみて大きな枠を決定し、そこに要素を当てはめるという手法です。演繹的なアプローチともいわれます。
トップダウンアプローチは大きな括りから細かく分解していく方法であるため「モレなく」分けることに適しています。そのためMECEを意識して分類するのであれば、基本的にはトップダウンで分解していく方が確実です。
分類の仕方がはっきりしている場合や、全体像自体を把握している場合などに有効な手法です。俯瞰的に物事を考えることができ、ゴールを見据えて分類しやすいことがメリットです。ロジックツリーなどはトップダウンアプローチの良い例です。
デメリットは、全体像に誤りがあると漏れやダブりが発生しやすくなります。
2、ボトムアップアプローチ
ボトムアップとは、下から上へ、つまり要素側から全体像をイメージするということです。
ボトムアップアプローチとは、思い浮かぶ要素を洗い出していき、そこからグルーピングして全体像を描いていく手法です。帰納的なアプローチともいわれています。
要素をいくら集めてもそれがすべてとは限らないため、どのように分類すればよいかわからない、全体像がはっきりしないケースなどに効果的です。そのため、未知の領域であっても思考しやすいというメリットがあります。
全体像がまだ存在していない新たな領域について考えるときなどでは、全体像から出発するトップダウンで考えるのは困難であり、ボトムアップによって全体像を形成していくということが有効になります。
デメリットは、全体像がわからないため要素に抜けや漏れが生じやすくなります。
■MECEで論理的思考をする4つの切り口
MECEに考えるためには、「どのように切り口を設定するか」が大切です。ここでまMECEに有用な切り口の考え方を紹介します。
1、要素分解
全体像を把握した上で各要素へと分解し、分解した要素をあわせたときに全体像になるよう、部分集合に切り分けていく手法です。「積み上げ型」や「足し算型」と呼ばれるケースもあります。
2、因数分解
分析したい対象を計算式で表し、要素に分解する手法です。ここでいう因数分解とは、計算式の形で分解していく方法のことです。掛け算だけでなく、割り算や足し算、引き算の形でも構いません(数学の因数分解とは意味合いが異なります)。
・粗利=売上-原価
・売上=営業訪問件数×成約率×取引価格
といった具合です。計算式の形にすることで、実際のデータの計算も容易に行えます。
3、時系列・ステップ分け
その名のとおり、時系列または段階で分解していく手法です。
例えば、プロジェクトを立ち上げて実行する際に、PDCAで「準備→実行→評価→改善」などのステップで分けることを指します。
4、対称概念
対称概念とは、相反する概念のことです。対象となる事柄について相反するもの・対称的な概念を挙げて、分解する手法です。
・質⇔量
・メリット⇔デメリット
・固定⇔変動
・国内⇔海外
・拡大⇔縮小
・多様化⇔画一化
・新規事業⇔既存事業
などのように反対になる概念を活用し分析していきます。のように物事を2つにMECEに分けて考える際に対称概念は有効です。
■まとめ
ビジネス全体におけるMECEのメリットは客観性を持った思考により論理的な整理を実現することになります。
物事の全体像を俯瞰して考えることことは、物事の本質や課題を解決する上で重要だと言えます。注意点としては、MECEは、ものごとを構造化して考えやすくするためのツールです。
決してMECEに分類することが目的ではありません。解決すべき課題に対する解決策の仮説を立てて、それらを検証できるように分解することが最も大切です。
経営者がステークフォルダーを結論を導いていくためには、その結論を支える主張が必要十分であることを構造化して表現すると必要があります。
構造化とは分析したい対象を分解して、それらを成立している成分、要素、状態などを分けて明らかにすることです。MECEを用いることで、結論への説得力を高めることができるのです。
■最後に
営業活動でもクライアント候補にサービス説明をする際、その対象にモレやダブりがあると、説得力に欠けてしまうため、こちらの結論をスムーズに理解して貰えないことがあります。
そのような際にMECEを意識して論理を組み立てることで、相手に納得感を与える強力な論理展開を可能にすることが可能になります。
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