シックスシグマとは?経営管理手法のリーンシックスシグマとは?

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

シックスシグマは、生産品質の改善や組織変革の方法論になります。 最大の特徴として財務的効果を出しながら人材を育成できることにあります。また、導入目的や対象に合わせて、適合する導入方法を選ぶことができます。今回は、シックスシグマやリーンシックスシグマについて解説します。

■シックスシグマとは?
「シックスシグマ(Six Sigma)」とは、主に製造業で使用される経営・品質管理手法です。

シックスシグマは、1980年代にモトローラによって開発された「品質管理のためのフレームワーク」です。その後、当時GEのCEOだったジャック・ウェルチの推進により大成功を収め、その有効性が世界に知れ渡りました。

製造部門だけではなく、営業部門や企画部門などの間接部門へも適用されるこの手法は、統計分析手法、品質管理手法を体系的に用いることで企業活動の様々なプロセスの分析を行い、問題に対する原因及び対策案を見出すことで品質や顧客満足度の向上を目指すことにも活用されました。

シックスシグマの目的は、業務プロセスを改善し、製品やサービスの品質のばらつきを抑えること。統計学を用いた定量的な分析をしながらデータドリブンでプロジェクトが進められます。

特徴としては、顧客の声(VOC)を活動起点とすること、経営層からのトップダウンであること、得られたリターンを明確に数値化することなどが挙げられるでしょう。

■シックスシグマが生まれた背景
シックスシグマという言葉は、もとは統計学上で標準偏差(ばらつきを表す言葉)を意味する「σ」が起源となっています。「100万回の作業を実施しても不良品の発生率を3.4回に抑える」(確立でいうと3.4/1,000,000)ことへの目標としてシックスシグマという言葉が使用され定着しました。

1980年代にモトローラ社(Motorola, Inc)の技術者ビル・スミス氏(Bill Smith)によって開発されたシックスシグマの手法は、当時の日本の製造業で一般的に行われていた「QCサークル活動」を参考に生み出されたと言われています。ボトムアップ型の手法で、完成品の結果重視のQCサークル活動に対して、シックスシグマはトップダウン型手法で行う活動として考案され、結果だけではなくそこに行きつくまでのプロセスそのものを重視しました。

その後、ゼネラル・エレクトリック社(General Electric、略称GE)のジャック・ウェルチ氏(Jack Welch)が経営に取り入れ発展させたことによってシックスシグマは広くに世間に知られるようになります。製造業から金融業にいたる幅広いビジネス展開を行っていたGEは、全ての分野でシックスシグマを導入し、品質を向上させることで顧客満足度を向上させ、利益を増大させる成功を収めました。

■シックスシグマの歴史的変遷
第1世代のシックスシグマ
原点は、1980年代に日本企業のTQC活動を手本に米モトローラ社が提唱した統計的“品質改善”手法でした。

第2世代のシックスシグマ
1990年代に米ゼネラル・エレクトリック社が展開した“全社改革”手法として、 サービス業や間接部門の課題解決に対象範囲を広げて成果を上げたことで世界中に広まりました。

第3世代のシックスシグマ
今世紀、全世界的に広がりをみせ、ISOが規定した“グローバルスタンダード”手法となりました。

■経営変革手法にもなるシックスシグマ
顧客満足度向上を目的に、製品やサービス品質のばらつきを抑えられるよう業務プロセスを改善するための手法です。

統計分析などを体系的に用いて業務プロセス上の問題を見える化し、それを取り除くことで、業務オペレーションを改善、財務的成果につなげるものです。シックスシグマの実施はブラックベルトと呼ばれる資格者が中心となって進められます。

シックスシグマの活動は、役割と責任が明確なメンバーによるチーム活動です。シックスシグマでは、下表にあるような役割名称をよく用います。

シックスシグマを導入した企業では、世界中どこでもこのような役割名称が使われるため、たとえ国籍や業種が異なっても、「ブラックベルト」といえば、どんな役割を担っているか、共通の認識を持つことができます。

業務プロセスを対象として、様々なバラツキの低減と効率化を目指します。通常の業務や作業は、複数の活動要素、つまり「プロセス」から成り立っています。

■リーンシックスシグマとは?
リーンシックスシグマは、従来のDMAIC手法とトヨタ生産方式を融合させた欧米のトップ企業で多方面に活用され、大きな成果を生み出している経営・品質管理手法になります。

バラツキを制御して高品質なビジネスプロセスの確立を目指す従来のシックスシグマ(DMAIC)に加え、ムダを排除して業務効率の向上を図るリーン生産方式を統合した新たなマネージメント手法です。

リーンシックスシグマは、マーケティング用語である「データドリブン」という、情報を可視化して定性的な部分も可能な限り数値化し、数字を業務改善の根拠とする点が特徴です。

「感覚的にこうすればいい」「経験的にこうすると成功する」といった感覚や経験値による意思決定ではなく、数値にすることで説得力が生まれます。

■リーン生産方式とは?
1980年代に、日本車の低価格・高品質に対して政府や北米の自動車業界は、ダンピング(不当に安くして売り、シェアを獲得すること)だと批判しましたが、アメリカの有名大学であるマサチューセッツ工科大学(MIT)の教授は、日本車(トヨタ自動車)の競争力の原点として、ムダを排除する経営手法に着目し、研究をはじめました。

トヨタ自動車のムダを排除する生産工程は、トヨタ生産方式(かんばん方式)と呼ばれ、生産の各工程で必要な部品を、必要な時に、必要な量だけ供給することで、在庫を圧縮し、経費を減らす生産技術を指します。この生産技術を体系化したリーン生産方式の「リーン」がリーンシックスシグマの語源です。

リーンとはリーン生産方式という生産方式の名前であり、日本のトヨタ自動車の生産方式を米国のマサチューセッツ工科大学の教授が体系化したもので、トヨタ生産方式とほぼ同じ意味です。

■シックスシグマ・プロジェクトの取り組み方
シックスシグマ・プロジェクトの活動サイクルにはDMAICやDMADVと呼ばれるものがあります。DMAICは既存プロセスの改善、DMADVは新規プロセスや新製品に向けた取り組みに適したサイクルです。

DMAICプロジェクトは、定義(Define)、測定(Measure)、分析(Analyze)、改善(Improve)、管理(Control)の5フェーズで構成されます。それでは、各フェーズについて順に説明していきます。

1、Define(定義)
シックスシグマ・プロジェクトは顧客の声(VOC)を起点としてスタートします。顧客が不満を感じている点を探り、それらを製品やサービスの欠陥とみなします。例えば「コールセンターの待ち時間が長すぎる」など目に見えない事柄も欠陥として扱われます。 ここでは、取り組むべき課題を明確にし、数字で目標を定めることが重要です。

2、Measure(測定)
まずは現状を正確に把握します。現状と自分の認識とは異なっていることが多いため、十分な数のデータを取得し、またそのデータが正しいものであるか見極めることが必要です。プロセスマップを作ることも有効です。具体的なフローを把握すると、何が問題となっているかを明確にすることができます。

3、Analyze(分析)
シックスシグマでは、一気に改善策策定へジャンプしてしまうことはありません。上記フェーズで発見した問題が「なぜ」発生しているか、まずは根本原因を探ることが重要です。分析には、フィッシュボーンダイアグラム、プロセスフローダイアグラム、SIPOC、MSA(Measurement System Analysis)、SPC(Statistical Process Control)など、さまざまなツールが使われます。

4、Improve(改善)
次に改善策の考案に入ります。複数の案を出し、上記M(測定)・A(分析)フェーズで得られたデータや分析結果から費用対効果を計算し、どの案が一番優れているか検討します。また、改善策を反映した新プロセスを試験的に導入し、本当に課題を解決できるのか検証します。

5、Control(管理)
シックスシグマ・プロジェクトチームから実際にそのプロセスを行っている業務チームに、新プロセスとその導入方法を伝えます。新プロセス導入後、最初にD(定義)フェーズで課題とされていたことが解決できたか確認します。プロジェクトチームが解散した後も業務チーム独自に継続的に測定を行い、再び欠陥が多くなればまたDMAICサイクルを回して業務の改善に努めます。

■まとめ
業務プロセスの改善がシックスシグマの主な目的ですが、リーンシックスシグマでは副次的な効果として人材育成や社員のモチベーションアップも期待できます。

シックスシグマを経営改善に活用することで体系的な分析に加え、効果の最大化を実現するために各改善の重要度を定量的に判断し、優先順位を決定しますので、具体的に以下の効果が期待できます。

1. 定量データに基づいて意思決定をすることで、「経営視点」を養うことができる。
2. プロジェクト推進に際し、関係者を巻き込み、「チームを機能させるノウハウ」を学習できる。
3. 上記2つを含め、社員の「スキルや経験、モチベーションをアップ」させることができる。

製品やサービスの品質管理の改善や向上は、利用するすべての顧客に同じ価値を提供することができますので、シックスシグマを活用し、モノ作りにおける品質管理の改善だけでなく、経営視点で顧客満足度を高めましょう。

■最後に
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本田季伸のプロフィール

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