営業活動やマーケティングを行う上で、何を「コンバージョン」として設定するかは非常に重要なポイントです。いかにしてコンバージョンを向上させるか、「B2Bファネルマネジメント」に日々頭を悩ませているマーケティング担当者は多いでしょう。
B2Bのファネルマネジメントにおいて重視することは、「売る理由ではなく、買う理由からの業務プロセスの設計」、そして、顧客が買う理由に変化の傾向が見受けられたら、それに適した「業務プロセスの流れ」の変化に取り組むことです。
なぜなら、「クライアント企業が自社の製品やサービスを買う理由は何なのか?」「購入に結び付くための振る舞いは、どのようにあるべきなのか?」、そのような視点からの業務プロセスを変革することこそが、企業競争力の向上に繋がるからです。
今回、営業のファネル分析とは?BtoB事業にファネル分析が鍵になる訳について解説します。
「今日のような乱気流の時代にあっては、変化が常態である。変化はリスクに満ち、悪戦苦闘を強いられる。だが、変化の先頭に立たない限り、生き残ることはできない。変化を脅威ではなく、チャンスとして捉えるリーダーでなくてはならない。」
<ピーター・ドラッカー>
■営業のファネル分析とは?
営業のファネル分析とは、BtoBのビジネスを展開している会社が自社の商品やサービスに対して見込客=リードの心理が、「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」の順で段階的に働くことを示しています。
ファネル分析はユーザー理解とともに、マーケティング全体のボトルネックはもちろん、施策別のコンバージョン改善にも有効な分析ツールです。ファネル分析は、BtoBにみられる購買行動が明確かつ、直線的である場合に有効な分析手法です。
「顧客が今どんな状態にあるかを理解し、それに合わせたアプローチを行い、売上に繋げる」ための考え方です。顧客が購買にいたるまでの段階的な心理的プロセスを表す、マーケティングにおける分析手法のひとつになります。
ファネル分析によって分かったユーザーアクションをペルソナやカスタマージャーニーに反映することもでき、より解像度の高いユーザー像を描くことができます。
ただし、ファネル分析は、購入までのプロセスが一直線である場合に有効です。なぜなら、BtoBのビジネスでは、社内で十分に検討が重ねられたうえで商品やサービスの購入を決定するため、BtoCのように、興味や関心が別のものに移るというケースは殆どないからです。
ファネル分析の活用により、自社サイトにおけるファネルごとの離脱率を分析できるほか、具体的な改善策を検討できます。適切な対策をとることで、CVの向上にもつながります。
■BtoBマーティングで有効なファネル分析
法人企業の商品やサービスを販売している会社の場合、BtoBマーティングでに取り組んでいるものの最終的な購入数が少ない場合、「商品を購入する」「サービスの申し込みをする」「資料の請求をする」など、各企業がそれぞれ設定したコンバージョン(CV=最終的な成果)に至るまでの顧客の行動プロセスを分解してみることです。
なぜなら、コンバーションにつながる顧客の購買行動やコンバージョンに至らなかった顧客が離脱するプロセスとその離脱率を測定して改善を図ることが可能になるからです。
この「段階」というのは例えば、以下のような切り分けで判断します。
・自社のことやサービスについては理解している状態だが、アクションはまだない状態
・資料請求のみアクションがあり、実際の購買には至っていない状態
・現在初回購入に向けて営業担当者が商談中の状態
・既に商材を複数回購入してくれている顧客で、アップセルの訴求を狙っている状態
■セールスファネルとは?
セールスファネルとは、自社のビジネスに初めて触れる人が、製品・サービスを認知し、購入・契約を経て、継続的な顧客となるまでのプロセスを段階分けしたものを指します。
潜在顧客から優良顧客になる過程で人数が絞り込まれていく様子を漏斗(じょうご、ろうと=funnel:ファネル)に例え、セールスファネルと呼びます。
営業・マーケティング活動を行う際には、顧客の段階に応じて適切な情報提供や提案を行わなければなりません。セールスファネルを作成して顧客の行動を段階分けすることで、顧客がどのような状態にあるのかを把握しやすくなり、各段階で最適なアプローチを行えるようになります。
■営業のファネル分析を行う5つのメリット
売上げを高めるためには、いかにしてファネルの底にいる「見込客=リードジェネレーション」を増やすのかを考えなくてはなりません。初めに営業活動でファネル分析を行うメリットを整理しておきましょう。
1、購買プロセスの理解がクロージングを高める
企業には、課題を認識してから購入までの一連の「購買プロセス」があります。営業活動を行う際には、各プロセスに合わせて適切な情報提供や提案をお客様に行っていく必要があります。ファネルを理解することにより、
・そのお客様がどのような状態にあるか
・売上げにつなげるためには、どれだけの見込み顧客を集めたら良いのか
・どのように見込み客にアプローチを行っていけば良いか
などを把握しやすくなります。ファネルに基づいたマーケティング活動や営業活動を行っていくことにより、効率的に売上げに繋げることができます。
2、営業リソースが最適化される
セールスファネルの活用で、営業担当者(またはインサイドセールス担当者)が「より見込みの高い顧客」へ的確なマーケティングを仕掛けることができるようになり、営業担当者の無駄な活動が減ります。
また、営業担当者が「獲得可能性の不透明な」複数の営業案件を抱えることによる負荷の軽減や、各営業案件の成果が可視化されることによる営業担当者のモチベーション向上にも繋がります。
3、ユーザーの購買行動から、離脱しやすいプロセスがわかる
セールスファネルを把握すれば、各プロセスにおける顧客の離脱率を測定することができます。ファネル分析では、コンバージョン(購入や契約といった目標)に至るまでの見込み顧客の行動を図式化し、各プロセスにおける離脱率を測定します。
最も離脱率が高いプロセスをボトルネックとして検証し、優先的に施策を実施して状況を改善することにより、コンバージョンに至るユーザーを効率的かつ迅速に増やすことができます。
4、フェーズごとに効果測定が可能
セールスファネル導入によって「営業担当者が獲得した見込み客の数」だけではなく、実際に各フェーズごとに契約が成立した件数・温度感なども把握できるため、より精度の高いPDCAサイクルが実現できるでしょう。
例えば「A社との契約はまだ取れていないけれど、過去に同様の事案でB社とC社の契約がある」という場合にも、両社の成約時のファネル位置を確認することによって効果的な施策データが活用できるため、プランニングに役立ちます。
5、CVR(コンバージョン率)が向上する
ファネル分析の最終的な目的は、コンバージョンに至るユーザーを増やすこと。セールスファネルを活用すると、獲得できる可能性の高い見込み客に効率的にアプローチが可能です。
さらに担当者一人ひとりの成約率が高まれば、結果的に全体収益のアップに寄与します。データを基にペルソナを設定し、製品やサービスの企画や販売方法、購買までの各プロセスを最適化できれば、必然的にCVRの向上につながります。
特に、BtoBの商材を扱う企業の場合は一般的に成約金額が大きくなる傾向にあるため、成約率の高さは大きな売上に直結し、高い成果が期待できるでしょう。
■セールスファネルの基本形
セールスファネルの最も基本的な形は、顧客を「トップ・オブ・ザ・ファネル」「ミドル・オブ・ザ・ファネル」「ボトム・オブ・ザ・ファネル」の3つの段階に分けるものです。この段階を良く理解すれば、BtoBビジネスでもインサイドセールスがセールスファネルを用いて顧客との関係性の調整や見込み客の選別を行えるということを意味します。
1、トップ・オブ・ザ・ファネル
トップ・オブ・ザ・ファネル(TOFU:Top of the Funnel)は、セールスファネルの入り口です。潜在的顧客のフェーズになるため、この状態の人は、潜在顧客やサスペクトと呼ばれ、製品・サービスをまだ認知していない状態です。
認知フェーズにあり、関係性が始まったばかりのリードは、トップ・オブ・ファネルに所属します。商品やサービスをまだ認知していないため、関心も高くありません。この段階では、具体的に購入を促してもこの段階では売上には繋がりにくいでしょう。
この状態では購買までの距離が遠いため、認知を促すために様々な施策で煮詰め、リードとの関係を深めていく必要があります。ここで必要となるのは、商品・サービスを認知して貰うための情報提供といったアプローチです。
TOFU段階の具体的な施策は以下の通りです。
・自社Webサイトにお客様の興味を引くコンテンツを公開する
・SEO対策を実施する(ペルソナ設定・キーワード選定・検索結果上位表示のための対策)
・SNS(Facebook、Twitter、Instagram)での情報発信
・メルマガやステップメールの送付
・DMの送付
・Web広告
・ニュースリリース
いかにお客様の注目や興味・関心を高める施策を行えるかが大切です。最終的に、これらの施策に興味・関心を抱いたお客様がMOFU層に進んでいくと言えます。
2、ミドル・オブ・ザ・ファネル
ミドル・オブ・ザ・ファネル(MOFU:Middle of the Funnel)は、見込み顧客の層です。顧客との関係性が少しずつ深まり始めた段階です。トップ・オブ・ファネルでの認知は完了しているものの、未だ購買に届かない顧客ともいえます。
トップ・オブ・ザ・ファネルでの活動により、製品・サービスを認知しており、関心をもってはいるものの、まだ購入するか迷っている段階です。この段階では、購買意欲を高めるための活動が行われます。営業担当者はより深い関係を築こうと、営業戦略を練り始める段階にあります。具体的にはリードナーチャリングと呼ばれるアプローチが有効になります。
MOFU層のお客様は、興味・関心やニーズを持っているため、その関心ごとに対して価値のある情報を提供することが大切です。eBookなどのコンテンツやメールやセミナー、メールマーケティングなどを行なって、ニーズを育てたり、課題化させたりすることが重要です。
MOFUの段階の具体的な施策は以下の通りです。
・定期的なお客様との交流(ブログ購読やSNSのフォロー)
・お客様のニーズや深い情報の取得
・購買意欲に訴えかけるLPの発信
・個別にパーソナライズされた情報の提供(eBookの紹介など)
・セミナーへの誘致
お客様の購買意欲を高めることが、BOFUへとつながります
3、ボトム・オブ・ザ・ファネル
ボトム・オブ・ザ・ファネル(BOFU:Bottom of the Funnel)は、購買に至る直前の顧客の層です。漏斗の一番狭い所に位置するのがこのファネルで、ここまで関係性が構築できると非常に高い成約率で契約を取れる可能性が高まります。
製品・サービスを購入することはほぼ決定しており、自発的に情報収集をして、各社の製品を比較検討している段階です。
セールスファネルの中でも、最も関係性の構築が進み、信頼関係が成熟しているリードとなります。商談を通じた営業活動はもちろん、他社BOFU層のお客様は、既に商品・サービスに対する購買意欲が高いため、導入事例のコンテンツや営業マンからの電話によるコミュニケーション、お問い合わせやデモなどを設定する必要があります。
BOFUの段階の具体的な施策は以下の通りです。
・魅力的なCTA
・他社サービスとの比較参照をしやすくするための詳細な資料
・購入方法や問い合わせ先などの明確化
・アフターフォローなどの付加価値情報
以上のように「TOFU → MOFU → BOFU」のファネルを経て、自社商品を購入してもらえるように導く必要があります。との比較のために必要な詳細情報の提供をする、割引や特典などを付与する、など積極的なアプローチが行われます。
■BtoBのセールスファネルの作り方
企業間取引を行うBtoBビジネスの場合は、AIDMAモデルの図式化と同様に「パーチェスファネル」を作ると効果的です。ユーザーが製品・サービスを認知して導入(コンバージョン)するまでのアクションフェーズを図式化し分析します。
パーチェスファネルとは、企業が商品やサービスを購入するまでの行動を「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」の4つに分類して図式化したものになります。
パーチェスファネルは、ユーザーが商品やサービスを認知してから購買に至るまでの心理変化を示す「AIDMAモデル」から生まれた考え方で、マーケティングにおける「ファネル」として広く認識されているものです。
AIDMAモデルとは、ユーザーの購買までの流れを以下の5つに分類し、それぞれの頭文字を取ったものです。
AIDMAモデルとは、
A(Attention):商品やサービスの存在を認知する
I(Interest):興味を持つ
D(Desire):欲しいと思う
M(Memory):記憶する
A(Action):購買行動を起こす
1920年代にアメリカのサミュエル・ローランド・ホール氏が提唱した消費行動モデルです。パーチェスファネルをネット集客使う場合、初めに自社サイトの目的に合ったコンバージョンを設定します。
【コンバージョン例】
・商品を購入する
・会員登録を完了する
・資料請求する
・イベントに申し込む
BtoBの分野であれば、ファネルの上から順に、リードの獲得、見込み顧客への育成、アポイント獲得(商談獲得)とフェーズを設定しても良いでしょう。
また、チャネル別での分析に用いる場合、WEBサイトであれば、WEBサイト流入、他のページ・資料請求ページ、フォーム提出と設定できます。セミナーであれば、セミナーページ閲覧、セミナー申込、出席・アンケート回答、面談申込と設定できます。
■インフルエンスファネルの重要性
BtoBビジネスにおいても、SaaSサービスやサブスクリプションサービスの展開により、カスタマーサクセスが事業継続に影響するようになり、「インフルエンスファネル」が非常に重要になりつつあります。
インフルエンスファネルは、コンバージョンするまでのアクションプロセスではなく、コンバージョン後のユーザーアクションをフェーズごとに整理し分析します。SNSやクチコミ・レビューなど個人のインフルエンサーとしての発信力が高まったことにより、コンバージョン後のユーザーアクションが重視されるようになりました。「AISAS」モデルから由来したファネルです。
BtoBでは、成功事例の取材を依頼することによって、その事例に類似する業界の会社様に伝わり興味・関心を示してもらうことができる可能性があります。BtoBビジネスにおいてもカスタマーサクセスという組織が注目を集めており、インフルエンスファネルの考え方が重要になってくることでしょう。
■まとめ
ファネル分析とは、コンバージョンまでのユーザーアクションを分解し、コンバージョンしなかったユーザーの離脱ポイントを見つけ、マーケティング施策のボトルネックを解消していく分析手法になります。
各プロセスの離脱率を知ることで、ユーザーがコンバージョンに至るまでにどこで多く離脱しているか把握できます。ユーザーアクションから離脱ポイントが明確になれば、離脱の割合が高いフェーズをボトルネックを優先的に検証・改善施策を行うことができ、コンバージョンにいたるユーザーを効率的に増やすことができます。
BtoBの営業活動は、社内で複数の人数によって十分に検討された上でライバルとの比較後に、製品・サービス購入の意思決定がされるため、購入(コンバージョン)までのプロセスが一直線で、ファネル分析に適しています。コンバージョンを最適化するために、ファネル分析は欠かせません。
BtoBのビジネスは、BtoCに比べて複雑といわれますが、それはボトムアップによる商談の場合、決定過程における稟議制度があり、さらに関与者も多く決定要因が複雑なことから言われるものです。一方で購入までのプロセスだけを考えると、シンプルといえます。加えてBtoCの購入とは違い、情緒的な思考が入る余地が少ないことも、ファネル型が有効になる要因といえます。
現代の複雑化したマーケティングに携わっていると、往々にして思考が混乱したり、取るべき施策や判断に迷いが生じることがあります。ファネル分析を行うことで、「どの段階に問題があるのか」「それぞれの段階で打つべき施策は何か」といったことが掴めるようになります。
集客戦略や販売戦略を考える際にはファネル分析の結果を意識して、マーケティング施策を打ちましょう。
■最後に
BtoBマーケティングおいてもファネル分析を活用すると数値でコンバージョンを評価することが可能になります。また、インターネット広告についても媒体の選定やプロモーションの施策に対して目的の数値と比較を行い、改善を行うことができます。
パーチェスファネルは、見込客となるリードジェネレーションの獲得やリードナーチャリングによる育成といったマーケティング活動を効率的に行えるため、顧客の購買過程を段階分けした営業プロセスとも相性が抜群です。漠然とマーケティング施策を検討するのではなく、リード顧客への認知する段階から、感情段階、行動段階へと引き上げることが可能になります。
現在、日本でも多くの業界は、競合となるライバルの商品やサービスが増えているため、新たに優良な法人企業のリードを獲得し続けていくことは、以前よりも難しくなってきています。そんな現代において投資対効果的に一番有効な営業方法だと言えるスキームが、営業顧問の人脈を借りた「リファラル営業」になります。
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