顧問と起業家の1on1ミーティングは、世界的なIT企業が集まるシリコンバレーで日常的に行われています。日本でもYahooなどの有名企業が導入するなど、注目が集まっています。
そこで今回は、顧問と起業家の1on1ミーティングとは何なのか、起業家に壁打ち相手が必要な訳、導入するメリット、うまくいかない原因や対処法、効果的な質問について解説します。
「重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを探すことである。間違った問いに対する正しい答えほど、危険とは言えないまでも役に立たないものはない。」
<ドラッカー>
■顧問と起業家の1on1ミーティングとは?
顧問と起業家の1on1ミーティングとは、経営者の成長を目的に、顧問と起業家が1対1で行うコミュニケーションのことです。
起業家の壁打ち相手としてエグゼクテイブコーチングの手法の1つにもなります。経営コンサルティングとは違い、次のような特徴があります。
・基本的に経営者が話し、顧問は質問やフィードバックを行う。
・週に1度~月に1度といった間隔で定期的に開催される。
目的は起業家によってそれぞれですが、次のような目的で実施されます。
・起業家の成長とビジネスの成長を促す。
・社長のモチベーションを向上させる。
・顧問と起業家の信頼関係を深める。
■1on1が注目されるようになった時代背景
1on1ミーティングが注目されるようになった時代背景のひとつとして、マーケット環境やライバルとの競争が激化しており、企業としては先を見通すことが難しい時代になったことが挙げられます。
そのため、個々の起業家の主体性や創造性を高め、変化に柔軟に対応していくことが重要になってきているのです。
1on1ミーティングはこうした時代背景にマッチしたコミュニケーションツールといわれています。起業家の目標達成とモチベーションを維持することが可能な1on1は重要度が高まってきています。
顧問が起業家とは定期的にミーティングを行うことで、起業家が抱えている現状を正確に把握できます。その解決方法のヒントや気づきを与え、一緒に考えることで、起業家が自ら課題を解決できるのです。起業家は自らが課題を解決することによって達成感が得られ、仕事へのモチベーションも高まります。
■顧問と起業家の1on1ミーティングを成功させる3つのポイント
1on1の成功に特別なスキルは必要ありません。
起業家の成長につながる会話をする、クライアント企業の社長との信頼関係を築くといった目標は一見難しくも思えますが、ミーティング前の準備と相手への気づかいがあれば、成功につなげられます。
具体的には次の3つのポイントを意識するとよいでしょう。
1、起業家の声にひたすら耳を傾ける
1on1ミーティング成功のポイント1つめは傾聴です。1on1では顧問は8割以上の時間を経営者の話に耳を傾けるべきと言われるほど、社長の話を聞くことは大切です。
話の途中でどんなに気になることがあっても、気持ちを抑え、話の腰を折らないように注意しましょう。どうしても気になることがあればメモをとっておき、経営者の話が終わってから質問します。
2、起業家が悩みを気軽に話せる雰囲気づくりを心がける
面接のような形式ばった1on1ミーティングになってしまうと、緊張が生まれ、お互いに話しづらくなってしまいます。
そうならないためには、ときおりプライベートや時事などの話題を交えて、気軽な雰囲気づくりを心がけることが大切です。そうすれば起業家が顧問に対して心をひらきやすくなり、本音も語ってくれるようになるでしょう。
3、質問項目、話す内容を事前に考える
事前に質問や話す内容を考えておけば、1on1ミーティングが雑談になってしまうことや、何を話したらいいかわからなくなり、気まずい雰囲気になることも防げます。
また、質問や話題を準備しておくことで、部下の成長やモチベーションアップに必要な話を計画的に引き出せます。
■顧問と起業家の1on1ミーティングで失敗する3つの理由
顧問と起業家の1on1ミーティングでの失敗と言えば、起業家の成長につながる会話ができない、顧問として起業家との信頼関係を築くことができないといったことが挙げられます。
こうした失敗は、実は準備や気づかいが不足しているために起こります。知らずしらずのうちにやりがちな失敗を事前に確認して、失敗を未然に防ぐことが大切です。
具体的には次の3つの失敗理由を意識してみてください。
1、起業家の話を聞かず、顧問ばかりが話している
1on1ミーティングのよくある失敗は、事業目標や目の前の仕事の達成のために、顧問が伝えたいことを伝えるばかりになってしまうケースです。
1on1ミーティングは起業家の成長やモチベーションアップのための時間。仕事のために話したいという気持ちを抑えて、部下の話を聞くことに集中しましょう。
2、起業家が話しにくい雰囲気になっている
1on1ミーティングには、顧問と起業家のコミュニケーションを活性化し、信頼関係を構築する目的もあります。
顧問が起業家にプレッシャーを与え、話しにくい雰囲気をつくってしまうと、信頼関係を深めることや、成長につながる本音を引き出すことが難しくなります。
具体的には次のようなことをしないように注意しましょう。
・業務の進捗を細かく確認する
・起業家の話を否定する
・「なぜ?」と繰り返して問い詰める
3、質問項目や話す内容を準備していない
質問項目や話す内容を用意していないと、次のような失敗が起こります。
・単なる雑談になってしまう
・お互いに何を話したらいいかわからない
お互いの時間をムダにしないためにも、計画的に質問を準備しておくとよいでしょう。質問の具体例をご紹介していますので、ぜひご活用ください。
■起業家のポテンシャルを引き出す3つの質問
経営者が部下に1on1ミーティングをして貰うことは難しいため、外部の顧問やコーチでない限り相談相手もおらず、話す機会もありませんので、顧問としてどんな質問をするかが非常に重要になると言えます。
起業家の場合、会社の課題として緊急性が高いテーマや業務上必要なことは自然と会話が生まれます。ですが会社の成長のためには、長期的なスパンで意識して考えていた方が良いテーマも沢山あります。
1、業務改善
・業務で課題だと思っていることは?
・もっとこうした方がいいんじゃないかと思っていることは?
・実際に改善してみてうまくいったことは?うまくいかなかったことは?
・ビジネスで抱えている課題や何か行き詰まっていることはあるか?
・もっと効率的に働くために起業家もしくは役員ができることは?
2、組織改善
・チームで課題だと思っていることは?
・チームで改善できると思っていることは?
・どうすればチームワークが良くなる?
・マネージャー(役員・部下)に何か要望は?
・人間関係で何かトラブルは?
3、目標設定/評価の改善
目標設定/評価では、組織やチームの方向性を共有しながら、起業家がもつ目標について深堀りしていきます。
最終的には起業家と会社の目標をすり合わせ、お互いに納得にいく目標設定を実現することで、起業家のモチベーションアップを図ります。
・いまどんな目標をもってる?
・目標を達成するためにどんなことに取り込んでる?
・目標を達成する上で何か障害は?
・次はどんなことに取り組みたい?
・いま自分を評価するならどれくらい?
・自己評価と他己評価のギャップをどう思う?
・仕事をしていくなかで何を手に入れたい?
・将来的にどんなビジネスに関わってみたい?
■まとめ
顧問と起業家の1on1ミーティングを定期的に行うことで、起業家の持続的な人材育成と成功の循環サイクルができるというメリットがあります。
1on1ミーティングでは、ビジネスや業務の取り組みを振り返ることで、気づきを再確認できます。得られた気づきを日々の業務に反映することで、さらなる成長につながるのです。起業家がそれらの気づきを組織内で共有することで、チーム全体の生産性向上も期待できます。
1on1ミーティングでは仕事以外にも、プライベートなどの悩みを聞くこともあるでしょう。
起業家が抱えている悩みや課題、あるいはニーズとのギャップなどを知ることで、適切な施策を考えられます。起業家の現状を理解し先手でフォローできれば、突然の「顧問契約の解除」のリスクも低減できます。
■最後に
成功の循環とは、次のようなサイクルでプラスの成果を上げて行くことを指します。
・顧問と起業家との間の良好な信頼関係を構築する。
・起業家の志向が前向きになり、仕事へのモチベーションが高まる。
・モチベーションが上がることで、新しい行動へのチャレンジや学習意欲が湧く。
起業家としての自律的な行動がよい結果を生み、顧問と起業家の間にさらに良好な信頼関係が築けます。
1on1による信頼関係の構築からスタートしモチベーションの向上、チャレンジ意欲を高めます。
そして、起業家が最終的にビジネスの成功体験を役員やマネジメント層に繋げることで信頼関係が維持でき、よい結果が生まれ、成功の循環は完成します。この成功の循環を構築、維持していくことで、起業家の成長を促進させることが1on1の目的だと言えます。
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会社の業績を向上させるためには、経営者が責任感旺盛な強いリーダーシップを発揮することが欠かせませんが、まず、これまで築いてきた社長自身のマインドを「変革する」必要があります。
単なる質問に終始せず、必要に応じてアドバイスも行います。クライアント企業様の課題状況に合わせて柔軟に1on1ミーティングをカスタマイズし、起業家の目標達成の実現にこだわります。
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