ホラクラシーという言葉をご存知でしょうか?ホラクラシー組織を聞いたことがあるものの、今一つ分からないと感じている人もいると思います。組織を成す人の立ち位置がフラットで、個人の主体性を高める組織形態として注目されています。
今回、ホラクラシー経営とはどんな組織なのか、語源、ホラクラシー経営などに触れながら解説していきます。
■ホラクラシー経営とは
ホラクラシー経営とは、トップダウン型ではなく意思決定の権限を組織全体に分散させる経営手法のことをいいます。ホラクラシーの語源はholonで、哲学用語です。部分でありながら全体としての性質を持つ概念です。
ホラクラシーは、2007年に米ソフトウエア開発会社ターナリ―・ソフトウエアの創業者ブライアン・ロバートソンにより提唱された、比較的新しい経営手法です。
アメリカのシューズEC最大手のザッポスが導入・実践をしていることで有名です。言葉自体が取り上げられ始めたのは最近ですが、この概念と取り組み自体は10年以上も前から存在していました。
今、ホラクラシーが注目されている背景には、企業のIT化と業務効率化があります。企業経営のIT化により、よりスピード感を持った経営が必要不可欠となっています。
従来のヒエラルキー型の組織運営では、市場環境の変化のスピードについていけない懸念を持つ企業を中心に注目され始めました。
また、人材不足などの影響から業務効率化を迫られている企業が多く、組織マネジメントにかかる多大な業務を削減する手法として、さらに人間関係によるストレスを軽減するための組織運営としても注目されています。
■ホラクラシー組織とは
上司・部下などの上下関係、肩書などがないフラットな組織です。意思決定の権限が組織全体に分散されているので、従業員は自律的に仕事をしていきます。
従業員が意思決定の権限を持つので、個人で仕事をするのも他者と協働して仕事をするのも仕事の進め方は従業員に任されています。ホラクラシー組織には、会社法で定められている取締役などを除き、基本的には肩書がありません。
■ヒエラルキー型組織との違い
ヒエラルキー型と言われる従来の日本のマネジメント型経営では、明確な上下関係が存在しており、経営に関しては経営層で決定するものでした。
しかし、ホラクラシー組織では、上下関係が一切存在せず、社員全員が経営に対して発言権を持っています。承認や個人の目標もなく、評価や査定も社員全員で実施します。
業務に関しては、各チームで適切だと思うことを各社員が得意分野を活かして実行していくという自律型の組織運営で、上からの指示や管理はありません。
★ホラクラシー型組織のメリット・デメリット
ホラクラシー型組織のメリット、デメリットにはどんなものがあるかを説明します。
■ホラクラシー型組織の4つのメリット
ホラクラシー型組織は上下関係、肩書などがありません。加えて、意思決定権は組織に分散されています。
そのため、組織のメンバーには自律的に考え、行動することが求められます。上司の顔色をうかがって仕事を進める必要がなくなるので業務の効率性が高まります。
1、スピード感のある意思決定
フラットなホラクラシー型組織では、上司や役員への確認や承認という段階が存在しません。チーム内で意思決定をし、各自が自分の役割を実行していくため、素早い意思決定・実行が可能となります。
その結果、事業を素早く回していくことができ、成長のスピードを上げることができると言われています。これは、ホラクラシー経営を導入する大きなメリットです。
2、社員の主体性の向上
上からの指示ではなく、チーム内で意思決定をして、自分の得意分野を活かして進めていくのがホラクラシー型組織です。社員は、チーム内での意思決定に従って自分自身で決めていけるので、主体性が身に付きます。
主体性の向上に伴い、社員のモチベーションアップにもつながります。上から指示されて、納得していないのに進めなければならないという状況にならないので、上下関係のストレスから解放されるのも、メリットです。
3、業務削減・業務効率化
ヒエラルキー型の組織では、組織を管理するための業務が発生しますが、ホラクラシー型ではそれはありません。
日々の日報や稟議申請、評価面談、それらに伴う打ち合わせなどがなくなるため、管理する側もされる側も業務削減につながります。事業のための業務に集中できるので、業務効率もあがります。本来やるべき事業のための業務に集中できることで、企業の成長にもつながります。
4、柔軟な組織運営
ヒエラルキー型の組織では部署ごとの人員配置ですが、ホラクラシー型の組織では、チーム体制は敷かれるものの、管理職は存在せず、チームは流動的です。
役割ごとに業務を切り分けるので、組織によらずとも社員は自分自身のやるべきことを明確に意識することができ、柔軟な組織運営が可能となります。
■ホラクラシー型組織の3つのデメリット
ホラクラシー型組織は、良い点ばかりではありません。代表的なデメリット3つを見てみましょう。
1、社員の自主性が問われる
自主性を向上させられるといったメリットもあるのですが、そこに至るためにはいくつかの条件が必要になります。ホラクラシー型の組織運営を実現するためには、社員のセルフマネジメント力が問われます。
社員が自ら目標達成のために責任をもって行動できる状態でなければ、ホラクラシー型組織はうまく機能しません。社員を意識付けできるのか、そのような環境を用意できるのか、採用の段階で判断できるのかといった課題が持ち上がる可能性があります。
2、社員の状況を把握しづらい
自分の責任を全うしているかどうか、きちんと仕事をしているかどうかが、ヒエラルキー型の組織と比べ見えづらくなります。
ミーティングなどを通じて確認はできるものの、管理するという体制はありません。社員同士、社員と会社との信頼関係(エンゲージメント)が問われます。
3、リスク管理が難しくなる
ホラクラシー型の組織にする場合、会社のリスク管理の方法を考え直さなければならない可能性もあります。
ヒエラルキー型の組織では何人もの承認を経ることでコストの妥当性やリスクを回避していますが、ホラクラシー型組織の場合には、承認段階を経ることがないため、社員を信頼して任せるしかありません。ここでも、経営者としては、社員との信頼関係(エンゲージメント)が重要なポイントとなります。
従来のヒエラルキー型の組織に慣れてしまっていると、ホラクラシー型の組織に馴染めない人も出てきます。ホラクラシー経営は、主体的に行動できセルフマネジメントができる社員が多く、会社と社員の距離が近く信頼関係ができている企業には向いていますが、大企業でヒエラルキー型の組織が定着している企業が導入するにはハードルが高いと言えそうです。
■ホラクラシー組織での給与制度
管理職が行う人事考課などによって給与設定がされている組織は多いと思います。ホラクラシー型の組織では、給与に関わる制度はどのように制定するのでしょうか。
1、仕事に対する相場で給与を設定
社内にある業務を相対的に見た相場や市場での相場などを考慮して、各業務に対する給与が設定されているようです。インセンティブや勤続年数による追加給、能力給などは一切付けず、その業務を行うなら誰が行ったとしても一律とされています。
2、給与をオープンにする
組織の中で誰がどんな業務を行い、その業務にいくら支払われるかをすべての社員が把握できる形になっているようです。これによって透明性かつ、公平性が保たれています。
★ホラクラシー型の組織を企業が成功させるためには?
企業がホラクラシー型組織を導入・運用に成功するためにはどうしたら良いかを確認していきます。
■ホラクラシー型の組織が失敗する理由
ホラクラシー型組織を導入しても失敗する理由として、いきなり全社的に導入することが挙げられます。
従業員の数が極端に少ない場合は別として、多数の事業部を抱える大組織でホラクラシー型組織を導入すると従業員に対するショックが大き過ぎてうまくいきません。
■ホラクラシー型の組織を成功させるためのポイント
ホラクラシー型組織を成功させるためには、自律的に仕事ができる人材がいる必要があります。従業員に全く自律性が期待できないようだとホラクラシー型組織を導入してもうまくいきません。
従って、ホラクラシー型組織を成功させるために、自律性・主体性を醸成する風土を作っていきたいところです。そのためには、トップが率先してホラクラシー型組織の実現を目指して社内発信していくことが肝要です。
仮に、現状、自律性・主体性が期待できなくても人材開発を進められる期待があればその限りではありません。
■ホラクラシー型の組織をスムーズに機能させるための3つのステップ
1、責任・功績の所在を明確にする
役割分担に際し、その責任までを明確に提示した上で、意思決定を求めることが大切になります。また、最終的な功績を組織やチーム内でオープンにすることも必要です。
2、チームなど小さな単位で制度を導入していく
はじめから大々的に始めるのではなく、数人のチームなどの単位で導入してみることをおすすめします。業務形態や特色などによって、調整や改善すべき点が見えてくるでしょう。ある程度の検証を進めた上で広げていくことが得策です。
3、セルフマネジメント能力のある社員で構成
セルフマネジメント能力のある社員でないと、ホラクラシー型の組織は機能しません。組織の構成要員の条件として、セルフマネジメント能力があることは基準として入れておくべきでしょう。
■まとめ
ホラクラシーとは、従来のヒエラルキー型の組織とは異なるフラットな組織体系です。
上下関係が存在しないため、意思決定のスピードが上がったり、社員の自主性が向上したり、業務効率があがったりというメリットがある反面、従来のヒエラルキー型の組織に馴染んでいる社員が多い場合には、そのギャップにより組織運営がうまくいかないこともあります。
意思決定権が組織に分散されているため組織のメンバーは強い自律性を有する必要があります。
ホラクラシーを実践するためには、セルフマネジメントのできる社員の集合体であること、責任感があり、主体的に動ける風土が築かれている組織であれば、比較的導入の効果を得やすいかもしれません。
チームワークの希薄化の懸念を払拭するような協力意識、壁のない建設的な意見交換ができる体制があるという企業であれば、成果につながる確率は高いのではないでしょうか。
■最後に
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