技術顧問が日本のモノ作りの課題を解決に導く理由?

投稿日: 作成者: KENJINS運営元代表 カテゴリー: 働き方改革   パーマリンク

日本のモノづくり産業を取り巻く環境は急速に変化しています。国内市場が縮小しグローバル競争が激化している中、下請け体質で脆弱な中小の製造メーカーが勝ち残っていくためには、世界で勝てる技術を持ったり、仕事の幅を広げて生み出す付加価値を高め、ユーザー企業に対する提案力や営業力などの向上を目指すことが求められています。そこ今回は、日本における技術人材の人手不足を解決するとっておきの方法について解説します。

■技術人材が不足している日本
製造業の従業者数は大きく減少していますが、特に中小製造メーカーにおいては、中核的な役割を果たす中堅層の割合が急減しており、現場の運営、若手層への技能継承の面などで人手不足に陥っているという問題が生じています。そのため、中小製造メーカーにおいては、若手人材の獲得に努める一方、不足する中堅層を補うため、大手製造メーカーでの経験・実績を持つシニア・OB 人材に活躍してもらうことが必要になっています。

しかし、いくら経験・実績豊富なシニア・OB 人材であっても、そのまま新たな役割を果たせるとは限りません。素形材中小企業の戦力となるためには、身につけた知識やスキルをこれからの時代に合わせてブラッシュアップしたり、知識やスキルをうまく人に伝えるための技術を高めるなど、シニア・OB 人材により一層活躍してもらうための再教育が必要な場合もあります。

■シニア・OB 人材活用の必要性
経済産業省産業構造審議会の試算によれば、2010 年から 2025 年にかけて、製造業の従業員数は全体としては減少するが、専門技術職は増加するため、男性で 30 万人、女性で 10万人程度の生産工程等から専門技術職等への職種転換が必要だとしています。

中でも製造業全体では、従業者数(男性)は大きく減少し、年齢構成では若年層の割合が緩やかに減少する一方で 55 歳以上の壮年層の割合が増加しているが、素形材産業においては、中核的な役割を果たす中堅層の割合が急減し、現場の運営、若手層への技能継承などで人手不足に陥っています。そのため、素形材産業では、若手人材の獲得に努める一方、不足する中堅層を補うため、素形材産業での経験・実績を持つシニア・OB人材に活躍してもらうことが必要となっています。

独立行政法人労働政策研究・研修機構(以下、JILPT)が行った、「ものづくり現場の中核を担う技能者の育成の現状と課題に関する調査」で見ても、中核的な役割を果たす中堅層の不足感が見られ、不足感は特に 300 人未満の中小企業で強くなっている。同調査によれば、ものづくり企業の現場で中心的な役割を果たし、企業の競争力を担う中核的技能者について、6割の企業で不足感があり、不足感は 300 人未満の企業で特に高くなっています。

また、不足感への対応策として、シニア・OB 人材の活用意向も見て取れる。対応策としては、「中核的技能者の候補を早期に選抜して育成する(46.7%)」が最も多いが、「中途採用の数を増やす(27.8%)」「退職者の中から中核的技能を持った者を選択して、雇用延長または再雇用を行う(24.7%)」を挙げる企業も3割程度と比較的多くなっています。

規模別では、「中核的技能者の候補を早期に選抜して育成する」は「300 人以上 1000 人未満」の企業で高く、これに比べ「300 人未満」や「1000 人以上」の企業では「退職者の中から中核的技能を持った者を選択して、雇用延長または再雇用を行う」「中途採用の数を増やす」を挙げる割合が高いです。

■ものづくり企業からみたシニア・OB 人材へのニーズ
ものづくりの中小企業の多くは、人材育成に取り組む余力が乏しく、即戦力となるシニア・OB 人材についての活用ニーズがあるとの調査結果が出ています。

たとえば、墨田区「平成 18 年度シニア人材活用実態調査報告書」によると、シニア世代(概ね 55 才以上の従業員)の活用について、「自社の退職者を雇用延長したい」というシニア人材の活用意向を持つ企業が製造業では 49.0%、「他社の退職者を再雇用・活用したい」という OB 人材について活用意向を持つ企業が製造業では 13.9%となっています。再雇用する理由としては、「シニアの能力に期待」を挙げる割合が高いです。

OB 人材については、たとえば、岐阜県経済産業振興センター「県内ものづくり企業における OB 人材活用ニーズ調査」によると、人材が充足している企業でも OB 人材を活用したいというニーズがあり、OB 人材が有する豊富な知識やノウハウ、実務経験の活用への期待があります。また、OB 人材の活用が期待されている業務としては、「生産管理」「技術・製品開発」「営業」などを挙げる企業の割合が高くなっています。

■職種別にみた充足状況と人材確保の手段
モノ作り企業では「営業・販売」や「生産技術・品質管理」といった職種において現在マンパワーが不足しており、かつ、今後も強化したいとの意向が強いです。「製造部門の作業者」に関しては、現時点でのマンパワーは不足気味であるが、今後も強化したいという点では「研究開発・技術開発」のニーズの方が高くなっています。

マンパワー不足の職種についての人材確保の手段としては中途採用と新卒採用が圧倒的に多いものの、製造部門の熟練技能者は「定年延長・再雇用」が 23.5%と高く、自社のシニア人材を引き続き雇用することで補おうとする意向が読み取れます。また、シニア人材をターゲットにしているとは限らないが、「再教育による職場転換」も製造部門の管理監督者(14.9%)、営業・販売(13.2%)など1割前後であるが比較的多くの職種でニーズがあります。

一方、他社含めた「OB 人材の活用」はそれほど高いとはいえず、製造部門の熟練技能者(8.0%)、海外展開・国際業務(8.0%)にとどまっています。今後強化したい職種についての人材確保手段もほぼ同様の傾向が認められる。割合としては少ないものの、ほぼ全ての職種で「取引先等からの人材受け入れ」が若干高くなっています。

■シニア・OB へのニーズと期待役割
シニア人材、OB 人材のいずれについても、「製造部門」や「生産技術・品質管理」の職種で、「若手や中堅社員の指導役として活用」および「今後の事業展開を担う人材としての活用」ニーズが特に高く、「研究開発・技術開発」や「営業・販売」の職種でも、指導役および今後の事業展開を担う人材としてのニーズが比較的高くなっています。なお、シニア人材については、特に製造部門での指導役としてのニーズが高くなっている点が特筆されます。

若手や中堅社員の指導役としてのシニア・OB 人材ニーズについて業種別に詳しくみると、シニア人材についてはどの業種においても「製造部門」における活用ニーズが高いが、ダイカストは「生産技術・品質管理」が 71.4%と極めて高く、「製造部門」の 67.9%を上回っている点が特徴と言えます。

OB 人材については金属プレスが「生産技術・品質管理」で 67.5%と高い活用意向が見て取れます。このほか、業種別の傾向の違いとしては、鋳造、ダイカスト、鍛造は「研究開発・技術開発」において OB 人材活用意向が比較的高いのに対し、金属プレス、金型、金属熱処理では OB 人材の活用意向が低くなっています。また、鍛造は「経営企画・マネジメント」において、金属プレスは「海外生産」において他業種に比べて OB 人材の活用意向が高いです。

指導役としての活用ニーズを従業員規模別に詳しくみると、シニア人材については規模が大きい企業ほど多くの職種において活用意向が高まる傾向が認められます。つまり、大手企業ほど職種や部門にかかわらず、自社のシニア人材を若手の指導役として活用する意向が高いといえます。

一方、OB 人材については、むしろ大手企業よりも中堅・中小企業においてニーズが高く、とりわけ従業員 100 人以下の中小企業において、「生産技術・品質管理」での活用意向が高いことが特徴的です。

指導役としての活用ニーズを営業利益率別にみると、利益率が高い企業ほど、製造部門、研究開発・技術開発、営業・販売といった職種においてシニア人材の活用ニーズが高まる傾向が認められます。

一方、黒字化していない企業や利益率が 3%以下の低利益率企業では、「生産管理・品質管理」において OB 人材を指導役に活用したいとする割合が高くなっている。こうしたことから、経営改善に向けては生産管理・品質管理面の強化が必要であり、そのために社外の OB 人材が求められている、との見方もできます。

■今後の事業展開を担う人材としてのシニア・OB 人材ニーズ
今後の事業展開を担う人材としての活用ニーズを業種別にみると、指導的役割に比べると業種でのばらつきが大きいことが分かります。「製造部門」は指導的役割としてはどの業種からも活用意向が高かったが、今後の事業展開については鋳造、鍛造、金属プレスでは活用意向が高く、ダイカスト、金型、金属熱処理では低い。また、営業や海外生産において金型のシニア人材活用意向が比較的高い。

OB 人材へのニーズをみると、鍛造において「製造部門」「生産技術・品質管理」で OB人材への高いニーズが認められる。一方、金属プレスは「生産技術・品質管理」では 64.3%と高いものの、「製造部門」は 35.7%と極端に低くなっている。このほか、鋳造、ダイカスト、鍛造では「研究開発・技術開発」への OB 人材活用ニーズが比較的高いです。

今後の事業展開を担う人材としての活用ニーズを従業員規模別にみると、従業員規模が大きい企業ではシニア人材への期待が全般的に高い。具体的には、営業・販売、生産技術・品質管理、製造部門、海外生産といった職種においては、従業員規模の拡大とともにシニア人材を活用したいとする企業も増加する傾向がみられます。

OB 人材へのニーズをみると、研究開発・技術開発、海外生産といった職種においては、シニア人材と同様、従業員規模の拡大とともに活用ニーズが高まっている。一方で、営業・販売に関しては、上記のシニア人材でみられた傾向とは逆に、小規模企業ほど OB 人材の活用ニーズが高くなっている点が特徴です。

今後の事業展開を担う人材としての活用ニーズを営業利益率別に比較すると、指導役に対するニーズほど顕著な傾向はみられないが、利益率の高い企業ほど製造部門や研究開発・技術開発などにおいてシニア人材の活用ニーズが高まっています。

■シニアの雇用は、若手の活躍の場を奪うのか?
東京都の調査によると、60歳以上の会社員らの雇用確保が進むと、採用抑制など若い人の雇用に悪影響を与えると考えている20代が「42.1%」に上ることが、東京都の調査で分かったそうです。若者が自身の雇用に不安を抱いている実態が浮き彫りです。調査は、2012年9~11月に実施し、東京都内の951事業所と、そこで働く934人が回答しました。60歳で定年に達した人への雇用確保義務は、2013年の4月から強化されて来ています。

しかし、高齢者の雇用を確保することで、若年者雇用に悪影響を与えるかについて、「そう思う」と答えた人の割合は、60代の25.1%に対し、若い世代ほど比率が高くなっています。高齢者を雇用すると、「若年者の採用を抑制せざるを得ない」と事業所の36.4%が答えています。従業員1000人以上では25.6%ですが、100~299人では40.6%となり、規模が小さい事業所で割合が高い傾向です。

定年後の継続雇用者についてどう感じているかを、複数回答で現役世代に聞くと、
1、「豊富な経験・人脈を持っている」(65.8%)
2、「高い技能・技術を持っている」(58.3%)
3、「精力的に働いている」(57.7%)
などと肯定的な評価があった。

一方で現在、中小製造メーカーでは特に、若手や中堅社員の指導役として自社シニアや大企業 OB へのニーズが高くなっています。中でも「製造部門」「生産技術・品質管理」において高いニーズがあります。大手企業の協力企業としてサプライチェーンに組み込まれている中小企業が多いため、高い品質でしっかりとした作り込みを行うところに、熟練技能や知見・ノウハウのある経験豊かなシニア・OB の期待役割が高いと言えるのです。

■まとめ
今後の事業展開におけるシニア・OB への期待役割は、指導役に比べて、より幅広い部門でニーズがあることが分かりました。依然として「生産技術・品質管理」「製造部門」でのニーズが最も高くなっていますが、「研究開発・技術開発」に加えて「営業・販売」「経営企画・マネジメント」「海外営業」「海外生産」といったマネジメントを中心とする間接部門へのニーズも認められます。

「製造部門」を除くすべての部門で指導役よりは高いニーズとなっており、経営資源の限られる中小製造メーカーは大企業 OB の持つノウハウ・知見・ネットワークなどへの期待が確実にあるのではないかと考えられます。また、上記の調査結果から鑑みますと、60歳を超えた方々は正社員としてのワークスタイルではなく、日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」が以前から提唱しているように、長年の知識・経験・人脈が最も期待されている中小・ベンチャー企業に、外部アドバイザーや技術顧問として活躍される選択肢がベストではないかと思われます。

「大企業の OB は中小企業では通用しない」と指摘されることが多いですが、その原因は顧問紹介のエージェントから紹介される OB 側と、受け入れる中小企業側の双方にあります。現在、顧問紹介会社から派遣されるシニア・OB 向けの意識改革は進みつつありますが、受け入れ側の中小企業の意識改革が遅れていてはマッチングが上手く行きません。

そのため、中小企業の経営課題に沿ったシニア・OB への期待役割を明確化するとともに、大手企業からシニア・OB を受け入れる際の心構えを併せて伝授していくことが重要になります。

■最後に
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、かつて大企業のシニア・OB が中小企業へ派遣された際、「大企業気分が抜けない」「上から目線になりやすい」といった問題点が指摘されることが多かったため、現在、シニア・OB を派遣する前にミスマッチを無くすための意識改革に取り組んでいます、

中小企業へシニア・OB 人材を派遣・紹介する際にはマッチング機能の強化が重要になるため、顧問紹介会社のエージェントが、コーディネータが両者の間を橋渡ししています。しかし、多くの顧問紹介会社は、人材紹介事業から派生しているケースが多いため、中小企業からのニーズを踏まえてシニア・OB 人材を発掘・紹介するにとどまり、中小企業のニーズそのものが漠然としていると、マッチングの成功率は低くなり、シニア・OB を派遣してもうまくマッチしないという多方面で問題が出ています。

そこで、日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、こうした既存の事業から一歩踏み込み、中小企業の経営課題からシニア・OB 人材へのニーズを掘り起こす、高度なコンサルティング機能を強化しています。

具体的には、オープンイノベーションの観点でシニア・OB 人材の受け入れを希望する製造メーカーや中小・ベンチャー企業には単なる人材紹介という業務の範囲を超えて、KENJINSのコンサルタントがプロジェクトに帆走しています。そのため、シニア・OB 人材の橋渡に加えて、課題解決の要件定義や進捗管理を行うマネジメントを強化しています。また、サポート領域としては、技術支援以外に、人脈コネクションを活用した営業サポートや海外展開に必要な海外営業サポートといった売上アップに直結する販路開拓ニーズの掘り起こしと実行支援にも重点を置いています。

本田季伸のプロフィール

KENJINS運営元代表 連続起業家・著者・エンジェル投資家 新卒で日本食研株式会社を経て、25歳で起業。これまでに自身で複数のITベンチャーを創業する。 1997年の起業時は、新宿の高田馬場でWEB制作事業からスタート。その後、インターネット事業プロデュース会社として、日本初の事業であることにこだわり、クーポン専門サイト、地域コミュニティサイト、出前専門サイト、チケット共同購入サイトなど、数々の専門・特化型ポータルサイトを立ち上げる。 クーポンサイトの運営時にバーコードを電子化し、クーポンやチケットとして携帯電話の画面上に表示するアイデアを考案し、20件以上の特許を申請し事業化を推進。2002年に業界で初めて、「携帯チケット」のソリューションを開発。KDDIと共同で歌手の矢井田瞳のコンサートでモバイルチケット入場を実用化させ、電子チケット事業のパイオニアとして一躍注目を浴びる。 2014年プライドワークス株式会社を設立。日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」のプラットフォームを武器に、顧問紹介業界で横行している極端な顧問料のピンハネを撲滅を推進し、「顧問料の中間マージンをゼロ」をコンセプトに業界で唯一、適正価格で顧問紹介サービスを提供している。

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