エンジェル投資家という言葉を聞いたことはあっても実際にどんな投資家なのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか。
エンジェル投資家とはどのような投資家なのか、どんなリターンを目的としているのかといった基本的な疑問から、実際にどのようにエンジェル投資家を探したら良いのか?
支援してもらうためにはどのような事業計画書を作成すると良いのか具体的な書き方が分からないというスタートアップの起業家が多いです。
そこで今回は、エンジェル投資家とはどんな人なのか、エンジェル投資に必要な要素について解説します。
■エンジェル投資家とは?
エンジェル投資家は、ベンチャー企業やスタートアップ企業と呼ばれる創業間もない会社に投資する個人の投資家のことです。元はイギリスで演劇事業に資金提供をしていた資産家をエンジェルと呼んでいたことが由来だそうです。
創業間もない企業への投資は企業が急成長する起爆剤となり得ますので、創業者からすればまさに天使のような存在と言えるでしょう。
起業・創業・独立のための資金が足りない起業家に救いの手を差し伸べる存在、それがエンジェル投資家です。
エンジェル投資家が必要とされる理由としては、創業期において起業家の多くは商品やサービスを販売した実績が無いため、銀行からのプロパー融資、ベンチャーキャピタルの投資を受けにくいからです。
エンジェル投資家の絶対数は日本ではまだそう多くはありませんが、今後は日本でも増えていくと予測されています。
エンジェル投資家からの株式による出資は、金融機関からの融資と違い、返済の義務がありません。
そのため、起業したばかりで、革新的な新規事業を立ち上げたり、業界にイノベーションを起こすプロダクトを開発するために、最初の資金が足りない起業家の中には、エンジェル投資家との出会いを切に願っている人も多くいます。
■エンジェル投資家ってどんな人?
エンジェル投資家は、その大半が自分自身も元起業家や元経営者で、自分たちで起業して会社を興し成功してきた人たちです。
単純な投資というだけでなく、若い起業家や新しいスタートアップ企業を応援したい、次代を担う人材の育成をしたい、という目的を持ったエンジェル投資家も多く存在します。
そのため、単なる投資先としてだけでなく、起業家の事業が軌道に乗るよう、一線で活躍する経営者を紹介したり、経営についてのアドバイスを行います。
自分の人脈ネットワークや知見を活かして後輩となる起業家を支援してくれる先輩として心強い味方となってくれることもあるようです。
エンジェル投資家の投資はあくまで、個人投資になります。そのため、投資をする時は基本的に第三者割当増資による株式出資という形になります。
出資は融資とは異なり資金を援助された側に返済の義務が発生しませんので、出資した企業に利益が出た時のみ、エンジェル投資家は配当という形で利益が得られます。
この側面だけを考えると、この個人投資は、リスクが高くあまりにも起業家側に有利な契約のように見えるかもしれません。しかし、それでも海外では個人でスタートアップ企業に対して投資をするエンジェル投資家が多数います。
現在、日本でも、年々個人投資をするエンジェル投資家は増えているようです。
エンジェル投資家の支援する金額は、日本円に換算して500万円〜2,000万円といった少額投資が大半を占めます。日本ではまだ馴染みのない「エンジェル投資」ですが、海外ではベンチャーキャピタルに並んでメジャーな投資法として知られています。
■エンジェル投資家は、なぜ投資をするのか?
一般的に新規事業を軌道に乗せることは難しく、エンジェル投資は「失敗するリスク」を覚悟の上で支援する必要があります。
しかし、スタートアップの株式を引き受けるエンジェル投資家には、株式投資によるメリットがあります。
基本的にエンジェル投資家は、ファイナンスを支援することでその会社の新株を割り当てられます。
投資した会社が成長することでその株式の価値も大きく上がり、結果としてエンジェル投資家も大きな利益を手にすることができるのです。
そのため、基本的にエンジェル投資家に出資してもらった企業は、株式会社として上場することを目指していくことになります。
また、最近では大手企業によるベンチャー企業のM&Aも活発化しているため株式公開でなくバイアウトで大きなリターンを得る投資家もいます。
実際に日本でもエンジェル投資家としてリスクを大胆に取り、IPOによる巨額のキャピタルゲインを得たという個人投資家も存在しています。
エンジェル投資家が出資をする理由としては、「自分が出資をした会社の成長を見守るのが楽しい」という感情が湧くからだそうです。一般人には想像しにくい感情かもしれませんが、一定以上の財産を手にしている成功者にとっては、目の前の損得以上に大切にしたいものがあるのでしょう。
もちろん、エンジェル投資家は闇雲に起業創業のための出資をするわけではありません。
出資先は入念に検討します。当然のことながら、成長や成功が見込めない起業家や企業に出資をしても、リターンが期待できないばかりでなく、「成長を見守る」という楽しみも持つことが困難だからです。
また、金融機関の融資とは違い、エンジェル投資家がリターンを得るためには出資した企業が利益を出さなければなりません。そのため、利益が出るようにエンジェル投資家はアドバイスをしたり、経営面のサポートをしたりすることもあるのです。
■エンジェル投資家に出資してもらうメリット
現在、誰もがが知る、GoogleやYahoo!、Facebook、Twitter、Appleなど、驚異的なスピードで一気に大手企業と肩を並べるまで短期間で成長し、大きな成功を収めたユニコーン企業でさえ、創業当初はエンジェル投資家の支えが無くては実現することが不可能でした。
シリコンバレーの発展を支えたのは、著名な複数のエンジェル投資家たちでした。日本でもエンジェル投資は少しずつ注目を集めるようになりました。
実際に、日本でもIT分野で成功した元起業家たちは、若手の起業や支援を積極的に行っています。そのようなエンジェル投資家に出資してもらうメリットは、大きく分けて三つあります。
1、出資してもらった資金は返済の必要がない。
2、経営者の先輩として経営を助けてくれる。
3、出資してもらったことで会社の信用が増す。
エンジェル投資家から出資を受ける最大のメリットは、出資してもらった資金は返済する必要がない、ということです。銀行や日本政策金融公庫などに融資を受ける場合、利息や返済期間の差こそあれ毎月返済していく必要があります。
しかし、エンジェル投資家からの出資は基本的に返済する必要がありません。もし事業が失敗してもエンジェル投資家に借金を負うことはない、ということです。
また、エンジェル投資家から他の投資家に呼びかけを行い、将来性のある起業への投資やスタートアップ支援を呼びかけることも可能です。
そのため、エンジェル投資家は紹介によるリスクも込みで出資してくれるので、事業を軌道に乗せ利益を上げられるよう全力で努力することが求められます。
他にもエンジェル投資家は元経営者であることが多いため、起業家や経営者としての人脈コネクションや経験、実績と信頼を持っています。
出資者として強力なエンジェル投資家が後ろ盾になってくれることで、株主が保有する人脈ネットワークによるビジネスの繋がりが生まれたり、貴重な経験を活かしたサポートを受けられる可能性があります。
また、それだけの実績がある人間が信頼してくれている、ということで会社の信用度が増す可能性もあるなど、資金面以外でも多くのメリットがあります。
■エンジェル投資家に出資してもらうデメリット
エンジェル投資家から出資を受ける場合、当然メリットばかりというわけではなく次のようなデメリットもあります。
1、エンジェル投資家による経営方針への介入。
2、出資金額次第では一部控除が受けられない。
3、株式を渡している関係上、経営方針に介入される可能性がある。
これはメリットの項にも書いた「サポートを受けられる」ことと表裏一体なのですが、エンジェル投資家が良かれと思ったアドバイスでも起業家からすると不満が出てきてしまう場合もあるようです。
一定の距離を築くエンジェル投資家がほとんどですが、中には会社経営にまで首を突っ込むエンジェル投資家が存在します。
とはいえ会社の経営を成功させたいのはお互いに同じなので、しっかりとエンジェル投資家とコミュニケーションを取ることでお互いに納得できる運営ができるように話し合っていきましょう。
また、創業者の持ち分比率があまりにも低ければ(役員の追い出しなど)経営で問題を抱えるほか、会社売却で損をする可能性があります。
そのため、エンジェルを募る際には「尊敬できる人物」から投資を受けるようにしましょう。仮に、尊敬できない投資家から支援が得られたとしても、経営で窮屈な思いをするだけです。
このほか、株価の配分や投資に関する約束事は双方に誤解の無い様にお互いが納得できるまで何度も、話し合うようにしましょう。
その他、エンジェル投資家に限ったことではありませんが資金上の問題として、基本的に法人設立二期目までは消費税の納税義務が免除されますが、資本金の額または出資金額が1000万円をこえてしまうとこの納税免除が受けられません。出資を受ける際はこういった税制の影響も考慮したうえで金額を決めるようにしていきましょう。
■エンジェル投資家に出資してもらうには?
ではエンジェル投資家に投資して貰うためにはどうすればいいのでしょうか?
まずは、ビジネスプランを作成しましょう。アイデアをブレインストーミングで練り、自分の考えを完結に分かりやすくまとめてください。どんなに優れたアイデアも、言葉として相手に伝わらなければ、意味を持ちません。
どのように売り上げに繋げていくのか、市場の流れや競合他社の調査、未来を見据えたビジネスプランについて、文章をまとめてみましょう。
また、エンジェル投資家はアイデアだけでなく、人を見て投資を判断します。このため、ワクワクするストーリーや未来への期待、人としての魅力が今後の起業を左右します。
ですが、エンジェル投資家の知り合いがいる人はほとんどいません。エンジェル投資家は、日本では未だ絶対的な人数が多くないため、普通に生活しているだけではまず出会うことはできないでしょう。そのため、自分からエンジェル投資家を探す必要があります。
■エンジェル投資家とのマッチングサイトを利用する
一番手軽なのはエンジェル投資家とのマッチングサイトを利用することです。起業家としてマッチングサイトに登録して置くとエンジェル投資家から投資を検討したいと連絡がくる形になります。
また、気になったエンジェル投資家が見つかれば、そのエンジェル投資家にアプローチをかけていくことできます。
投資家のプロフィールには「どのようなビジネスに投資したいと考えているのか」と「出資できる金額」が記載されていますので、あなたの出資条件と合えばマッチングが成功する可能性があります。
マッチングサイトの利用で気をつけたいことは、投資家のプロフィール(経歴)です。中にはベンチャー企業を食い物にする反社会的勢力もあるため、マッチングサイトに限らず個人間の投資には大きなリスクが生じます。
コンタクトを取る際には、自己責任で個人情報や会社の情報管理には十分注意を払ってください。
残念なことに、スタートアップに対して株式投資をうたった詐欺や事件が発生しています。投資先進国のアメリカでは、ベンチャー投資の法整備が既に進んでいますが、日本ではまだ、法の整備が追いついていない状況です。
投資を受ける側はもちろん、投資をする側も「どのような人物と取引をするのか」相手のことをよく知ることが重要です。
■エンジェル投資家へのオファ文面が重要な理由
起業家が事業への熱い想いをマッチングサイトに公開しても、残念ながらほとんどが読み流されてしまいます。
その理由は、やはりビジネスプランの全貌が見えにくいため、短い事業説明を見てもクリックするほどの興味をそそることが難しいからではないでしょうか。
基本情報だけでは、投資家は個人投資をするメリットをイメージしづらいのです。それどころか、そもそもメリットやデメリットを考慮する段階にまで至らないことも多いでしょう。
スタートアップのための資金調達をしたい起業家の数は多く、投資家は起業家の情報の1つ1つをじっくりと検討していては、時間がいくらあっても足りないというのが現実です。
しかし、起業家が資金調達のために心がけなければならないのは、できるだけ多くのエンジェル投資家にストーリーを語り、詳細情報を伝えるためにアプローチする機会を作ることです。
沢山いる起業家に埋もれてしまうことなく、エンジェル投資家から見つけて貰うために、起業家としてのプロフィールを充実させるなど、投資家から見つけて貰うための最初の努力を怠らない。これが、一番の秘訣だと考えてよいでしょう。
■エンジェル投資家に事業計画を伝える
出資してもらいたいエンジェル投資家が見つかったら、そのエンジェル投資家にアプローチをかけていきます。エンジェル投資家にアプローチするための事業計画書を作成しましょう。
エンジェル投資家向けの事業計画書のフォーマットがあるわけではありませんが、基本的には以下の5つの要素をしっかりと伝えることが大切です。
1、会社概要及び経営者の略歴
ここで具体的に何をする会社なのか、そして経営者自身の経歴やスキルをアピールします。
エンジェル投資家はあくまで投資家なので、当然成功する可能性の高い計画に投資したいと思っています。自分は成功する能力がある人間だ、ということをアピールしていきましょう。
投資家は経営者の人格や経験を重視しています。スタートアップが置かれる環境は不確定要素が多く、きびしい状況の中でも会社が成長できるかどうかは経営者の資質によるところが大きいからです。
経歴や支援者、あればIPO経験などを書きます。経営者は優等生タイプより天才肌の方が良いこともありますので、あなたの強みが表現できるよう表現の仕方を工夫してみてください。
2、事業の背景・目的
その事業をするに至った背景や目的を伝えます。エンジェル投資家は個人の意思で投資してくれるため、資金投資先にも銀行やベンチャーキャピタルのようにリターンの確実性だけでなく、事業そのものの実用性、将来性や人情といった情報にも左右されます。
市場の成長性がなぜ必要になるのでしょうか。これはシンプルな理由で、市場規模が大きい方が、会社が成長しやすく、IPOまで持っていくのが簡単だからです。まだ、どんなマーケットでも競合に勝った者だけが急成長を遂げることができます。
例えば、福祉関連の事業を行いたいとして、ただ単に「需要がありそうだからやりたい」、というよりは「祖母の足が悪かったので、同じような人を助けたいと思ったからこの事業を行いたい!」と言った方が印象はいいものとなるでしょう。
ここは自身の熱意もアピールポイントとなる、と考えておくといいかもしれません。
3、事業内容(事業概要・サービス・ターゲット)
その事業の詳細な事業内容、サービス、ターゲットのペルソナなど、具体的な内容を伝えていきます。ここでポイントとなるのはサービス内容とターゲット層の関係性です。
サービス内容がターゲット層に本当に求められているのか、またはこれから求められるようになるのか。サービスの付加価値、顧客、価格、販路、流通方法など幅広い面から納得感の持てる差別化要因を見つけ出してください。
単純に今現在流行しているからこの事業をやります、といった一過性の流行に乗るだけではエンジェル投資家は投資してくれません。これからのブームを作っていくような、そんな将来性のある事業である、という内容のアピールができるようにデータを集めていきましょう。
4、市場規模・競合
市場規模と競合相手をどれだけ調べているか、というのがポイントとなります。基本的には市場規模が小さかったり、競合相手が多かったりする業界ではあまりいい印象は抱かれにくくなってしまいます。
とはいえこれらもマイナス要素ばかりというわけではなく、市場規模が小さいならこれからその業界が伸びることを予測するデータを集めればいいアピールポイントになります。
競合相手が多くても、その競合相手たちが気付いていない革新的なアイデアを提示できればそれを強みに説得できる可能性もあります。どちらにせよ、市場や競合相手に関する綿密なデータ収集がカギとなることは間違いありません。
5、収支計画・資金計画
最後は数字によるデータ勝負です。当然相手は数多くのデータを見てきた猛者なので、希望的観測の甘い数値ではすぐに見破られてしまいます。
実際に業者による見積もりを取る、収支計算の根拠を書いておくなど、実現性の高い数値であることをアピールしながら勝負していきましょう。
また、単なる数値の寄せ集めではなく、損益計画、売上計画、人員計画、投資計画などが相互に矛盾なくつながっている必要があります。いずれIPOを目指す会社の数値計画がいい加減では出資などできるはずがありません。
会社の戦略と一致した資金計画を立て、ビジョンだけではなく計画もきっちりした会社であることをアピールしましょう。
また、自分に投資することでエンジェル投資家にどのようなリターンが提供できるのか、という点も伝えましょう。エンジェル投資家はあくまで投資家であって、慈善活動家ではありません。
当然リターンが投資するリスクに見合わないと思えば投資はしてくれません。エンジェル投資家が投資したくなるような魅力的な、しかし現実的なプランを提案しましょう。
これらに加えて、経営者本人が事業計画を実行できる人間だ、という信頼感をエンジェル投資家に与えなければなりません。
デメリットの項でも書いたように、信頼できる人間同士であるとわかるようにコミュニケーションをとる必要があります。経営者は人として信頼できる人だということを真摯に伝えていきましょう。
■その他の資金調達方法
他にはピッチコンテストや交流会といったイベントに参加することもエンジェル投資家を見つける近道です。
こういった多くの人が集まるイベントにはエンジェル投資家も多く来場していて、そこで仲良くなったり事業に興味を持ったりしてくれるエンジェル投資家が見つかればそこからアプローチしていきます。
こちらは直接顔を合わせての交渉ができることからお互いに情報を得やすいのがメリットと言えます。
また、クラウドファンディングやベンチャーキャピタルを利用して資金調達する方法もあります。
新規事業がVCの目に止まることは残念ながらあまり多くありませんが、ビジネスプランのコンテストに応募して評価されたり、著名人の経営塾に参加することで、あなたの新規事業がVCの目に止まり、起業創業のための資金援助を得られる可能性が広がります。
VCは、投資だけではなく経営のサポートもしてくれますので、人によってはベストな資金調達方法になるかもしれません。
■エンジェル投資家とVCの違い
ここからは「ベンチャーキャピタルとエンジェル投資の違い」について説明します。ベンチャーキャピタルとエンジェル投資には、次のような特徴があります。
1、ベンチャーキャピタルの特徴
・長期間のプロセスを掛けて、投資先を選定するため審査が厳しい。
・扱う金額が大きい、最低でも2億〜3億円以上の投資額(資本金)になる。
・投資先の会社で、役員の席を要求することが多い。
2、エンジェル投資家の特徴
・短期間で「魅力のある」起業・人物に対して投資を行う
・扱う金額は500万円〜2,000万円程度と少額だが、資金調達がしやすい
・役員の要求や経営に首を突っ込む投資家は比較的少ない
ベンチャーキャピタルは出資金額が大きいのが特徴です。ただ、資本金を億単位で必要としない業種では「ベンチャーキャピタルの規模は、あまりにも大きすぎる」と敬遠します。
また、ベンチャーキャピタルの出資は、審査から実施までに非常に長い時間が必要です。
短期間で必要な資金供給を受けるには、エンジェル投資家のサポートが大きな役割を担います。しかし、エンジェル1名だけの資金では足りないこともあるでしょう。この場合は、複数のエンジェル投資家を募って共同出資を持ちかける方法があります。
また、限られた資金で何とか堪え抜き、経営が軌道に乗って売上が上がりまでファイナンスを我慢し、ビジネスが順調になった時点で初めてスタートアップ側に有利な条件で、ベンチャーキャピタルからの出資や事業会社からの出資を受けるスタートアップ企業も多く見られます。
■クラウドファンディングとの違い・比較
アメリカだけで無く、国内でも「クラウドファンディング」の動きが活発化しています。クラウドファンディングとは、不特定多数の人物に少額の資金を募り、起業家をサポートする仕組みです。
クラウドファンディングのサポートする場は広く、起業家のスタートアップのほか、アーティストの支援、地域の復興支援、ブログの運営サポートなど多岐に渡ります。
クラウドファンディングは、寄付金の額が非常に小さく、個人でも参加しやすいのが特徴です。ただ少額でも、多数の賛同が得られれば(エンジェル投資以上に)大きな金額が集まることも多いです。
クラウドファンディングは、インターネット経由で財源を得ることから「ソーシャルファンディング」と呼ばれることもあります。
クラウドファンディングの見返りは「物やサービス」が多いのが特徴で、エンジェル投資と違い、クラウドファンディングの見返りは(生産した)物やサービスが多く、金銭で返ってくることはほとんどありません。
また、スポーツ分野に特化したものや、企業間のマッチングに特化した独自のクラウドファンディングも多数存在しています。
■尊敬できる投資家から資金調達するのが望ましい
個人投資による資金調達は、エンジェル投資家とビジネスパートナーになるということでもあります。エンジェル投資家がビジネスに意見をする局面も当然出てくるでしょう。
これが出資ではなく融資ならば、事業の進め方を干渉される度合いは最低限かもしれません。
しかしエンジェル投資家からの資金提供は融資ではなく出資である以上、事業に対し必要以上に干渉される可能性も想定しておかなければなりません。もちろん、起業家とエンジェル投資家の意見が合わないこともあるでしょう。
このような場面において、起業家にとってそのエンジェル投資家が尊敬できる対象かどうかは非常に重要なポイントになることでしょう。
自分で考え進めてきた事業に対し、無条件で「スタートアップの資金を出してもらったのだから、エンジェル投資家の意見は何でも聞こう」という気持ちにはなかなかなれないものです。
尊敬しているからこそ、相手の意見を聞きたい、勉強の機会になるという前向きな気持ちでエンジェル投資家の話に耳を傾けることができるのです。
起業するとなると、少なからず体力的、精神的にストレスがかかるもの。そんな時に、エンジェル投資家とぶつかることで疲弊し、事業に集中できなくなってしまうことはできる限り回避したいものです。
そのような観点から、お金だけにひかれて出資者に選ぶのは、あまりお勧めできません。
できれば、エンジェル投資家がどのような人なのかをきちんと調べて、「この人と一緒にビジネスをしたい」と心から思える人と組むこと。これが、理想のビジネスパートナーの探し方です。
■実際に出資してもらったら
実際にエンジェル投資家に出資してもらったら、計画に沿ってしっかりと運用をしていきましょう。
エンジェル投資家は経営者として先輩にあたる場合も多いので、知識や人脈コネクション、経験を活かして相談に乗ってくれる場合もあります。期待に応えられるようきっちりと有効に資金を運用していきましょう。
■まとめ
スタートアップの資金が豊富な起業家というのは稀です。多くの起業家が起業創業のための資金が足りずに、自分のビジネスをスタートできずにいます。
そのため、多くの起業家にとってエンジェル投資家の存在は、非常に魅力的に映ることでしょう。
エンジェル投資家の中には、過去に自分で起業創業を行ない、成功した人も少なくありません。そのような人は、起業創業時の資金調達の苦労もよくわかっています。
「できるだけ若い起業家をサポートしてあげたい」という気持ちを抱く人が多いのは、そのような背景からも来ているようです。
また、「引退後もビジネス界とは何らかの形で関わっていきたい」、「自分が持っているノウハウを後進に伝えたい」と願う資産家が、エンジェル投資家になるケースも多いのでしょう。
引退すると、自分の知見を活かせる機会はぐっと少なくなります。しかし、個人投資家となり株主になれば、引退後も企業と密に関わることができるという点から、個人投資を通してビジネスと関わり続けたいと願うのです。
成功者にとってビジネスは何より興味深く、エキサイティングな存在なのでしょう。「面白い新規事業と関わり続けたい」という気持ちは、多くの人が理解できるのではないでしょうか。
エンジェル投資家による出資は資金調達だけでなく精神的、実務的にも大きなサポートを得られるなど多くのメリットがあります。
日本ではまだあまり馴染みがありませんが、今後の企業にとって非常に大きな存在となっていくでしょう。ただし、エンジェル投資家から出資してもらうためには事業計画書が重要です。
斬新さや将来のビジョンだけでなく、その事業を成功させるためにどうするか、今の時点でどういう努力や活動、データ収集をしているか、といった実務的な部分や事業を成功させたいという熱意、情熱も評価ポイントとなります。
投資してもらうために説得できる情報は多ければ多いほどいいので、事業計画とその裏付けのデータはしっかり集めて提示していきましょう。
■最後に
スタートアップ用の事業計画書は、一般的な中小企業が銀行から創業融資を受ける内容とは、全く異なる構成となっていることがお分かりになったと思います。
知らない言葉や概念ばかりで、自分で作れるか不安になった方も多いのではないでしょうか。そんな方は、事業計画書作成サポートのアドバイザーに相談してみるのがオススメします。
日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、5000人を超える顧問やプロ人材が在籍しています。
財務のプロやスタートアップの創業支援のプロが事業計画書作成のサポートをしてくれるので、起業家が事業計画書が上手く作成することができないという事態も回避できます。
資金調達に精通した外部の専門家を上手く活用して事業計画書を作成し、エンジェル投資家からの資金調達を成功させましょう。