現在、海外の先進的な製造業の躍進によって、多くの日本の製造事業者が危機に直面しています。
低コスト生産を実現する新興国の存在、少子高齢化からくる労働人口減少、マーケットの縮小など、そこにはさまざまな原因が隠されています。
そこで、今回、日本の製造業の現状を整理するとともに、今抱えている課題について解説します。
■第4次産業革命とは?
そもそも、「第4次産業」とは何なのでしょうか。産業の分類を簡単に説明すると、下記になります。
第1次産業:農業・林業・水産業
第2次産業:鉱工業・製造業・建設業や電気ガス業
第3次産業:サービス・通信・小売り・金融や保険など
1次・2次産業に含まれないもので、目に見えないサービスを提供する無形財の産業になります。こう見てみると、1次~3次産業までは直ぐに分かりますが、第4次産業とは一体なんなのでしょうか?
第4次産業とは、上記の産業分類の定義に入らない新しいタイプのもので、情報通信・医療・教育サービスなどの知識集約産業などを指しています。第4次産業の特徴は、主に技術開発を中心とした産業であるため、物質やエネルギーの大量変化(消費)を伴わないことです。
中には分類の難しい産業もあり、今まで第3次産業に入っていた産業が大きく技術革新したことで新たな産業へと変化し、第4次産業に分類しなおされるケースもあります。一般的にはIoTやAI(人工知能)を用いることで起こる製造業の革新と言われています。
IoTはInternet of Thingsの略で、日本語で「モノのインターネット」と呼ばれています。これは、あらゆるモノがインターネットと繋がり、情報交換をすることで相互に制御するシステムを指しており、日本でも総務省がIoTの普及に取り組んでいます。
これらの技術を取り入れることにより、人工知能を搭載したコンピューターが自分で判断し動くシステムが確立できるようになります。その結果、製造業のさらなるデジタル化・コンピューター化が進むとされています。
ものづくり大国としてのプライドを世界に見せつけている日本の製造業ですが、戦後最大の壁に直面していると言ってよいでしょう。その壁とは「第4次産業革命」です。
「第4次産業革命」が世界の製造業に与えるインパクトは非常に大きいものと考えられます。
多くの場面で人手を必要とせず、製造プロセスや情報分析の全部または一部をAIやIoTに置き換えることで、高く安定した品質の製品を、より低コストで市場へ供給できる可能性があります。
世界が乗り越えようとしているこの「第4次産業革命」という壁を、日本の製造業も同じように乗り越えなければならない時代が到来しようとしているのです。
■インダストリー4.0とは?
第4次産業革命と同意義の言葉として「インダストリー4.0」もよく上がります。インダストリー4.0とは一体何なのでしょう。
インダストリー4.0とは、ドイツが世界で初めてIoTの普及を国家プロジェクトとして宣言したもので、ドイツ連邦教育科学省が勧奨し、ドイツ工学アカデミーにより2011年に発表されました。これを受けて先進国を中心に第4次産業革命への注目が高ったわけです。
日本で使われている第4次産業革命とは少し異なる意味合いもありますが、製造業のデジタル化・コンピューター化による自動化を推進している点では同じことを指しています。
■日本の製造業が抱える3つの大きな課題
日本の製造業が、以前にも増してボーダレス化した世界の製造業と戦っていくためには解決すべき大きな課題が3つあります。それが「人材不足」「IT活用」「技術継承」の3つです。
1、人口減少にともなう労働人口の減少とマーケットの縮小
少子高齢化が進むにつれて、日本の労働人口は減っていきます。このあおりを直接受けるのが製造業です。
以前にも増して労働力を確保することが難しくなってきているだけでなく、人口減少による国内マーケットの縮小から海外に販路を求めたり、新たなビジネスモデルへの転換が迫られています。
2、遅れる日本のIT活用、海外市場から取り残される可能性
日本のIT活用が遅れていることは、かねてより警鐘が鳴らされています。しかし、技術力への自負とIT導入コストへの懸念から、日本のIT活用は他国に比べて遅れを取っています。
海外製造業では大小規模を問わず、AIやIoTといった最新技術を取り入れることに積極的です。それにより、事業は効率化されるだけでなく製造品質も向上してきているのです。
3、技術継承がスムーズに進まず、日本の高い技術力が埋もれてしまう
日本の一部の製造業は、世界に類を見ないほど高い技術力を持っています。
しかし、現代日本の製造業では、「技術伝承」という大きな問題を抱えており、それまで培ってきた高い技術を次の世代に継承できない可能性があるのです。
このことは中堅・中小企業において大きな課題となっており、中小企業の高い技術力は、大企業が高品質な製品を生み出すためにも欠かせないことから日本の製造業全体の課題になってきているのです。
■まとめ
第4次産業革命の到来は、製造業の世界においても今や企業規模が優位に働く時代では無くなった、ということです。
2015年の中小企業白書によれば、小規模企業(従業員20人以下)の中で経常利益率が上位25%の企業と、大企業の中で経常利益率が上位25%の企業を比較すると、2010年以降は小規模企業の製造業の平均経常利益率が15.1%なのに対し、大企業の製造業の平均経常利益率は13.2%です。
何と小規模企業の収益性が、大企業のそれを抜いたのです。
現在は企業間格差が取りざたされる時代ではありますが、第4次産業革命が到来したことにより、同時にハードよりもソフトの時代になりました。
やり様によっては小が大に勝つ時代になったのです。現在、日本の第4次産業革命は欧米諸国から大きく後れを取っており、今後は急激に変化してくことが予想されます。
これから国際社会を生き抜くためにも、今のうちから変化に対応できるスキルを身に付けておくと良いのではないでしょうか。
■最後に
製造業の場合、商品を製造することとが主な業務内容であるため、企業向け販売(BtoB)の取引が多くなります。材料の販売、製品の加工、機械のような最終品の販売等、色々な形態があるものの、販売先が企業となってくる事が多いかと思います。
そのため、個人営業ではなく法人営業特有の営業方法が必要になります。
つまり、ターゲット顧客の組織の幅(関与する部署)と高さ(決裁権者の階層)を意識して販売戦略を考えていく必要があるのです。場合によっては、複数の部署や階層に向けたアプローチを同時に実行していく営業の取り組みが重要になります。
そのため、多くの中小製造マーカーの営業、販路開拓は、窓口担当者にいくら説明していても遠回りになってしまうという状態に陥っています。
ある企業では自社の若い営業マンによる大手企業の販路開拓に力を入れていますが、進捗が思わしくない状況でした。その理由は、決裁権限者となる役員クラスやキーマンへのトップダウン営業の仕組みが弱かったことが主たる要因でした。
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