新規開拓を成功に導くプロジェクトの進め方

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 専門家インタビュー   パーマリンク

新規開拓のプロジェクトを成功させる実践ガイド

新しい市場を狙うとき、最初の一歩でつまずくと、施策が増えても成果が伸びにくいです。そこで鍵になるのが、新規開拓を「段取り」として設計し、仮説検証の速度を上げる進め方です。

私は以前、休眠顧客向けのプロジェクトで、ターゲットを広げすぎて初月の商談化率が伸びませんでした。そこで「誰の、どんな課題が、いつ顕在化するか」に絞り込み、提案テーマを3つに限定して反応を測る運用に切り替えました。その結果、2週目から商談の質が上がり、勝ち筋が見えたので提案文面とヒアリング項目を即日で改訂できました。

具体的には、①目的とKPIを最初に言語化し、②検証項目を先に決め、③意思決定の期限を固定して、④学びを次の打ち手に反映する流れにします。特にプロジェクト全体の学習ログを残すと、次の打ち手の精度が上がり、失敗コストも下げられます。次にやるなら、まずは現状の仮説を3行で書き出し、今週中に検証できる小さな実験へ落とし込みましょう。

目次

  1. 新規開拓プロジェクトとは何か
  2. 新規開拓プロジェクトが必要になる企業の課題
  3. 新規開拓プロジェクトの進め方を5ステップで解説
  4. 新規開拓プロジェクトで使える営業手法
  5. 新規開拓プロジェクトを失敗させる原因
  6. まとめ

新規開拓プロジェクトとは何か

問い合わせが途切れた瞬間に「次は何を打つか」を考えるのが、新規開拓プロジェクトの出発点になります。狙いは新しい顧客層や未取引の企業に対して、課題に合う提案を届け、継続的な取引へつなげることです。つまり、既存の延長ではなく、検証と改善を前提にした取り組みだと捉えると整理しやすいです。

私が担当した案件では、最初に問い合わせフォームだけ増やして進めた結果、商談は増えず、しかも理由が掴めませんでした。そこでターゲットと提供価値を一度に確定し、ヒアリング項目も絞って再設計したところ、次の週から反応率が安定しました。この経験から、開始時点で「誰に、何の約束をして、どう確かめるか」を決めることが最短ルートだと感じています。

進め方の要点は、(1)対象の定義、(2)仮説の設定、(3)検証の設計、(4)学びの反映、の順で回すことです。資料作成より先に、数字と判断基準を置き、改善サイクルが止まらない状態を作るべきです。

新規開拓と既存営業の違い

売上を伸ばす発想が同じでも、現場で起きる作業は別物です。既存営業は「今まで取引してくれた相手に、追加提案や条件改善で前進する」流れになりやすい一方で、新規開拓は「まだ信頼関係が薄い相手に、最初の接点を作って成果につなげる」比重が高くなります。そのため、準備の中心が資料の厚さから、仮説の精度と検証速度へ移ります。

筆者が経験したケースでは、既存顧客向けの改善提案は過去の実績が後押ししてスムーズでした。ところが同じ提案を横展開して新規案件を取りに行ったら、反応が鈍く、理由が「相手の課題設定のズレ」にありました。そこでターゲットの業務フローを聞き直し、入口の切り口を変えたところ、次回商談の歩留まりが上がりました。

実務では、既存営業は提案の改善と運用設計、開拓側はターゲット選定、切り口設計、初回体験の作り込みに時間を割くべきです。最初に違いを言語化し、担当者のToDoを分けると迷いが減ります。

プロジェクト化することで得られる効果

成果を出すまでの道筋を、後から振り返って説明できる状態にすることがプロジェクト化の価値です。個別の打ち手を集めるだけだと「当たった理由」が曖昧になり、次の判断が遅れます。そこでプロジェクト化して、目的・対象・期限・役割・判断基準を先に揃えると、関係者の迷いが減って意思決定が速くなります。

実務では、筆者が関わった新規の提案改善で、タスクが属人化していた時期がありました。ところが進捗会議で「今日は何を確かめるのか」を統一し、学びをテンプレに記録したところ、次週の改善が迷わず回り始めた経験があります。これは料理でいえば、味見のタイミングと配合の目安をレシピに書くようなものだと感じました。

プロジェクト化すると、(1)優先順位が固定され、(2)検証結果が資産として残り、(3)数字の評価が揃います。だからこそ、最初の1回目で要件を言語化し、終了条件まで設計するべきです。

新規開拓プロジェクトが必要になる企業の課題

紹介や既存顧客だけでは売上の伸びが頭打ちになると、次の一手を探し始めます。そこで浮上するのが、新規開拓を前提にした取り組みで、該当するのは「今のやり方のままでは成長が止まる」状態にある企業です。例えば、既存顧客の更新率が横ばいで、新規の売上が年単位で見込み違いになるケースが典型です。

また、人手不足で営業が追い切れず、受注までのリードタイムが長くなっている場合も当てはまります。こうした企業は、ターゲットや訴求の整理が曖昧なまま属人的に動いていることが多く、折に触れて同じ改善議論に戻ってしまいます。筆者が関わった企業では、商談はあるのに受注率が上がらず、原因が「課題の聞き取り不足」だと分かった瞬間に、提案設計を見直す方針が固まりました。

つまり必要なのは課題を言語化し、検証できる形にすることです。ターゲット、競合、顧客の判断基準がずれている兆候があれば、新規開拓をプロジェクトとして立てるべきです。

売上の停滞と顧客構成の偏り

見込みがあるのに、月次の数字だけが伸びない。そんな停滞は、施策不足よりも「売上の作り方」が偏っているサインです。特に売上依存が特定の業種や規模に寄ると、景況感の波で売上が上下し、営業チームの頑張りが数字に反映されにくくなります。筆者が支援した企業でも、既存中心で伸ばしていた期間は堅調でしたが、途中から解約と単価下落が同時に起き、体感の忙しさの割に成果が伸びませんでした。

もちろん「紹介が強いから、今のままでも良い」という意見もあるでしょう。しかし私は、主力顧客と同じ条件の企業しか追わない状態だと、需要の変化に対する耐性が弱くなると考えています。そのため停滞の原因を分解することが先です。

売上を「件数」「単価」「継続率」に分け、どれが落ちているかを特定します。次に顧客構成の比率を見直し、少しずつ比重を変える計画を立てるべきです。そうすれば次の打ち手が、新規開拓か既存改善か迷わず決まります。

属人的な営業活動から脱却できない状態

同じ提案を持っていても、人によって成約率が大きく変わる。現場でそんな声が出るなら、営業が仕組みではなく経験に依存している可能性が高いです。私は過去に、特定の担当者だけが有望顧客を掴める状態を見ましたが、引き継ぎをすると商談が急に崩れ、パイプの太さが見えないまま時間だけが過ぎました。

この状態を放置すると、アポ獲得からヒアリング、提案書の作り込みまでがその人のやり方に固定されます。結果として、評価制度や改善が回らず、教育も再現できません。たとえば、訪問前の準備が口頭で済んでいると、数字の差は「運」なのか「準備」なのか切り分けできません。

脱却の第一歩は、プロセスを見える化することです。受注確率を左右する項目を決め、質問票、提案テンプレ、優先フォロー日を標準化します。次に、担当者ごとの判断理由を記録し、会議で学びを共有すべきです。属人性が下がるほど、営業は再現性のある勝ちパターンに近づきます。

新規開拓プロジェクトの進め方を5ステップで解説

最初に「何をもって成功とするか」を握ると、動き方が決まります。新規の営業は試行錯誤が増えやすいので、作業を5ステップに分けて回すのが最も扱いやすいです。筆者が新規案件で立ち上げた際も、ステップを決めずに走った週は会議ばかり増えましたが、順番を固定してからは検証が前に進みました。

1つ目はターゲットと提供価値の仮説を置くことです。2つ目は意思決定者と課題をヒアリング項目に落とし込みます。3つ目は訴求の切り口ごとに提案を作り、初回商談で反応を見る段取りを組みます。4つ目は結果を「数字と理由」で記録し、改善点を一枚にまとめます。最後の5つ目は学びを次の提案と運用に反映し、次の検証へ接続します。

迷ったら最小の検証から始めるのがコツです。まずは1ステップ目をA4一枚で書き出し、そのまま会議資料にして共有すると進みます。

目標顧客と市場を定義する

商談を増やす前に、「誰に何を届けるのか」を一度言い切ると、迷いが減ります。目標がぼやけたまま営業資料を作ると、同じ労力でも響く相手と刺さらない相手が混ざり、結果的に改善が遅れます。だからまず、狙う顧客像を条件で切り出し、次に市場の範囲を決めます。

筆者が担当した新規案件では、最初は「業界全体」へ提案していましたが、反応が散らばり、社内で原因究明が進みませんでした。そこで「従業員規模」「導入目的」「意思決定までの期間」の3点だけを基準に絞り、該当企業の共通課題をヒアリングしました。すると、提案の切り口が揃い、初回商談の反応が一段上がりました。

具体的には、年齢や部署名ではなく予算の出どころや課題の発生タイミングまで定義します。次に競合が多い領域と薄い領域をざっくり分け、優先順位を付けるべきです。最初の定義ができたら、次工程のターゲット別メッセージ作成へ進めます。

訴求する価値と提供サービスを整理する

頭の中で良いことを言えているつもりでも、相手が受け取るのは「結局、何が自分の得になるのか」です。だから最初に、訴求の中心となる価値と、提供するサービスをセットで整理します。ここが曖昧だと、営業トークは長くなるのに決裁者が腹落ちせず、次回に進めない原因になります。

筆者が関わった新規案件では、提案書に機能の説明が多く、顧客の担当者は「確かに良さそう」と言うものの、稟議が進みませんでした。そこで価値を「導入後3か月で業務時間を削減する」と一文に固定し、サービスも「現状分析→運用設計→導入支援」の3要素に整理しました。すると、説明の順番が変わり、会話が自然に“効果の確認”へ移っていきました。

これは料理でいえば、食材を並べるだけでなく、完成形としての一皿を先に見せるようなものだと感じます。価値とサービスを対応づけ、相手の課題に直結する言葉だけを残すべきです。

営業手法とチャネルを選定する

狙う顧客が決まっても、売り方が合わなければ商談は増えません。

次に必要なのは営業手法とチャネルの選定です。手法は「誰に・何を・どんな順番で伝えるか」を作る要素で、チャネルは実際に接点を作る経路になります。例えば、同じBtoBでも、決裁者が意思決定に時間をかける企業にはメール起点が合い、短期で導入を決める現場部門にはウェビナーや個別デモが効きやすいです。

筆者が新規で立ち上げたとき、最初は飛び込みに寄せてしまい、初回の反応は取れても継続に繋がりませんでした。そこで、既存顧客の紹介とコンテンツ配信を切り口にし、反応が良い企業だけ次の手法へ移す順番に変えたところ、追客の手間と成約までの時間が減った経験があります。

選定のコツは、チャネルごとに役割を決めることです。認知は広告やセミナー、興味は資料請求や記事、商談化は個別面談、というように分けると改善の判断が明確になります。まずは仮の組み合わせを2案作り、2週間で反応指標を比較して絞り込むべきです。

実行体制と役割分担を決める

新規の取り組みは、アイデアよりも実行の細部で差が出ます。そこでまず決めたいのが、誰が何をいつまでに進めるかという実行体制です。ここが曖昧だと、調整ばかり増えて当事者の行動が止まり、検証の回転数が落ちます。

筆者が関わった新規案件では、提案資料の作成担当が確定せず、営業が聞いた内容が開発側に渡るまで数日空いてしまいました。その結果、商談で拾った違和感を次の改善に反映できず、学びが薄くなった経験があります。

対策は役割を分解して割り当てることです。少なくとも、(1)ターゲットと仮説を持つ人、(2)ヒアリング結果を集める人、(3)資料とオファーを組み替える人、(4)数字と成果を評価する人を分けます。さらに、判断が必要な場面の決裁者と期限も明確にします。最初に体制表を作り、週次で役割ごとの進捗を確認すれば、検証は止まらず前に進みます。

KPIを設計して改善サイクルを回す

次の提案を考える前に、今どこで数字が止まっているのかを特定しないと、改善は当てずっぽうになります。新規開拓では特に、行動量を増やしても成果につながらないことがあるため、測る指標を先に決めるべきです。私は以前、初回商談数だけを追ってしまい、案件の質が落ちた経験があります。結果的に、フォロー工数が増えただけで受注が伸びませんでした。

そこでKPIを「商談化率」「提案採用率」「初回導入までのリードタイム」など、意思決定の手前に置き直しました。併せて、週次で数値と原因をセットで確認し、仮説が外れたらすぐに切り替える運用に変えました。改善サイクルは、作業を頑張る仕組みではなく、学びを積み上げる仕組みです。

最初は指標を3つに絞り、各指標の算出条件と確認頻度を決めてください。その上で、良い数値が出た要因と悪い数値が出た要因を文章で残すのがコツです。

新規開拓プロジェクトで使える営業手法

「新規に挑む」と決めても、やみくもに訪問やDMを増やすだけでは成果が揃いません。必要なのは、相手の判断プロセスに合わせて組み立てる営業手法です。筆者の経験では、最初に“関心”を作らないまま商談だけ取りに行くと、初回では話ができても次に進みません。だから手法は、集客、接点、提案、フォローの流れで考えるべきです。

たとえば、課題が顕在化しやすい業種にはスポットウェビナーを起点にし、同じ悩みを持つ担当者へ事例ベースで案内します。個別の提案が必要なら、無料診断や現状棚卸しのように“次の行動”を相手に渡す設計が効果的です。さらに見込み度の低い層には、メールで配信するコンテンツを段階的に変え、反応が出た企業だけ次工程へ進めます。ここで温度差に合わせた連絡頻度を管理できると、追客が負担になりません。

次に試すなら、手法を1つに絞り、初回接点から成約までの指標を固定して検証してください。

アウトバウンド営業

電話やメールでこちらから接点を取りに行く手法は、慣れていないと「ただ追いかけているだけ」になりがちです。だからアウトバウンドは、狙う相手の条件と目的を先に固定してから実行するのが最短です。私は過去に、ターゲットを広げたまま初回の架電リストを作ってしまい、反応がゼロに近く、その後の改善も理由が説明できない状態になりました。

切り替えたのは、同じ担当者へ何度も掛けるのではなく、想定課題が近い企業に絞って「最初に渡す情報」を変えたときです。たとえば、メールなら導入事例の要点を3行に圧縮し、電話なら「相手の状況を確認する質問」から入ります。これは料理でいえば、材料を全部買う前に“味の方向性”を先に決めるようなものだと感じます。

運用面では、架電・送信・反応のステータスを記録し、次のアクションを自動化できる形にすべきです。数で勝とうとせず、目的に合う反応だけを次工程へ進める設計にしてください。

インサイドセールスと問い合わせ獲得

訪問前の段階で勝負が決まると、商談の質も歩留まりも安定します。そのために使うのが、インサイドセールスの考え方と問い合わせ獲得の設計です。窓口が混乱していると、せっかく問い合わせが来ても折り返しが遅れ、次回の接点が消えます。私は以前、問い合わせフォームの数だけ追って運用していたチームで、返信までの時間が日をまたぐことがあり、同じテーマのリードでも商談化率が急落した経験があります。

この状況を改善するとき、まずやるべきは獲得から初回対応までを分業せず一つの流れにすることです。獲得面では、検索ニーズと一致する訴求を用意し、フォーム入力の項目を減らします。対応面では、リードごとに「次のアクション」を決め、メールで確認、必要なら短時間の電話で状況を回収します。さらに、どの経路から来た問い合わせが成約につながるかを記録し、投資配分を見直すべきです。

紹介とパートナー活用

新規開拓で最初に使える足場は、自社単独で作るよりも紹介やパートナーの力を借りる方が早いことがあります。紹介は「すでに信頼されている関係」を入口にできるため、商談までの距離が縮みます。一方で、ただ紹介をお願いするだけだと紹介元も次に何を渡せばいいか迷い、成果につながりません。なので紹介の設計と、パートナー活用の役割分担を先に決めるべきです。

筆者が見た事例では、製品販売会社が「相手が検討段階のときに役立つ一枚資料」を紹介先へ事前共有する運用に変えたところ、紹介後の商談化率が上がりました。相手に“次の行動”が明確に渡っていたのが効いています。

進め方は、紹介依頼のテンプレ化、ターゲット条件の共有、成果報告の頻度を揃えることです。パートナーには営業支援だけでなく、導入後のフォロー観点まで渡し、紹介が継続する状態を作ってください。

新規開拓プロジェクトを失敗させる原因

新規開拓は「やることが多い」ので、失敗すると原因を外部要因にしがちです。しかし多くの場合、つまずきは社内の設計不足にあります。たとえば、ターゲットは決めたつもりでも判断基準がなく、次の行動が個人の感覚で変わると、学びが溜まりません。結果として、テスト回数は増えても改善につながらず、進捗が停滞します。

筆者が関わったプロジェクトで起きたのは、問い合わせは増えたのに受注が伸びない状態でした。原因を「相手の温度感」と決めつけてしまい、フォロー内容を変えずに同じ提案を繰り返していたのです。ところがある日、初回商談の同席者が「相手が確認したいのはコストではなく運用の手間だった」と指摘しました。ここから、価値の伝え方とヒアリング項目を修正したところ、次週の成約率が上向きました。

失敗の典型は、検証せずに継続してしまう運用です。だから初期段階で「うまくいったか」を測る仕組みと、外れたら戻すルールを必ず先に作るべきです。

まとめ

最後に押さえたいのは、行き当たりばったりの頑張りではなく、設計した流れで成果を取りにいくことです。新規開拓は、ターゲットの定義から訴求の言語化、手法とチャネル、実行体制、指標の運用までを一連でつなげるほど失敗が減ります。

私は「とりあえず商談を増やす」方針で進めた時期に、改善が遅れて次の一手が薄くなった経験があります。逆に、プロジェクトとして役割と判断基準を揃えた後は、学びが次の提案に反映され、同じ失敗を繰り返しませんでした。

今週やるなら、まずは次の2週間で検証する仮説を1つ決め、KPIと確認頻度まで書き出してください。すべてを同時に変える必要はありません。順番に整えれば、勝ち筋は見えます。

本田季伸のプロフィール

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