執行役員と取締役の違いをわかりやすく解説

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 企業インタビュー   パーマリンク

執行役員と取締役の違いを基礎から実務まで整理する

会社の組織図や役員一覧を見たとき、似た肩書きが並んでいるせいで、誰が経営の判断を行い、誰が現場を動かしているのか迷う場面は少なくありません。特に執行役員と取締役は同じ経営層のように見えますが、法的な立場、担う役割、選ばれ方、報酬や任期の考え方まで、確認すべき点ははっきり分かれます。

肩書きの印象だけで上下関係を判断すると、決裁権限や責任の所在を読み違えやすくなります。実務では、違いを感覚で捉えるのではなく、会社法上の位置づけと社内規程で与えられた権限を切り分けて理解することが欠かせません。

この記事では、両者の基本的な違いを比較しながら、法的な位置づけ、役割分担、報酬・契約・任期の違い、執行役員制度を導入するメリットと注意点まで順に整理します。名称が似ていて混同しやすい執行役との違いにも触れているため、組織図を見たときの疑問を実務に沿って解消しやすくなります。

目次

  1. 執行役員と取締役の違いを一覧で把握する
  2. 執行役員と取締役では法的な位置づけがどう違うのか
  3. 執行役員と取締役の役割の違い
  4. 執行役員と取締役で異なる報酬・契約・任期
  5. 執行役員制度を導入するメリットと注意点
  6. 執行役員と執行役を混同しないための整理
  7. まとめ

執行役員と取締役の違いを一覧で把握する

社内の役職を正しく理解するには、肩書きの印象ではなく、法律上の立場と担当する仕事を切り分けて見る必要があります。執行役員と取締役は、どちらも会社の運営に関わりますが、意思決定を行う側なのか、決定事項を実行する側なのかで役割が大きく異なります。

取締役は、株主総会で選任され、取締役会などを通じて経営方針や重要な業務を決め、業務執行を監督します。執行役員は、会社が独自に設ける役職であり、担当部門の業務を指揮し、経営陣が決めた方針を具体的な成果につなげる立場です。ただし、執行役員が取締役を兼ねる会社もあるため、肩書きだけで判断してはいけません。

これは料理でいえば、取締役が店全体の献立や経営方針を決め、執行役員が厨房や接客の現場を動かすような関係です。両者の役割を混同すると、誰が最終判断を下し、誰が実行責任を負うのかが不明確になります。比較する際は、法的な位置づけ、権限、選任方法、任期、報酬の五つを確認するのが効果的です。次の比較表で、基本的な違いをひと目で整理します。

ひと目でわかる比較表

判断に迷ったときは、役職名の響きよりも、誰が何を決め、どのような根拠で職務を担っているのかを確認すると整理しやすくなります。次の表では、実務で確認しやすい項目に絞って、両者の基本的な違いをまとめています。

比較項目取締役執行役員
法的な位置づけ会社法上の役員会社独自に設ける役職
主な役割経営方針の決定と業務執行の監督担当事業や部門の業務執行
選任方法株主総会で選任取締役会や社内規程に基づき選任
任期原則として会社法に基づく任期会社の規程や契約で定める
雇用関係委任関係が基本雇用契約を維持するケースが一般的

表から分かるように、取締役は会社全体の方向を決め、執行役員はその方針を事業の現場で実行します。ただし、企業によって職務権限や呼称の定義は異なり、執行役員が取締役を兼任する場合もあります。最終的な判断には、定款、取締役会規程、職務権限規程を照合することが欠かせません。肩書きだけでなく、決裁権限と責任の範囲まで確認するのが実務上の近道です。

執行役員と取締役では法的な位置づけがどう違うのか

肩書きが社内で広く使われていても、法律上の責任まで同じになるわけではありません。会社法が定める機関や役員に該当するかどうかによって、選任手続き、対外的な責任、登記の扱いが変わります。ここを曖昧にすると、契約や社内決裁の場面で権限を誤って運用するおそれがあります。

取締役は、会社法に定められた会社の機関であり、株式会社の経営に関する意思決定や業務執行の監督を担います。選任には株主総会の決議が必要で、会社との関係は基本的に委任です。職務を怠って会社や第三者に損害を与えた場合には、法令に基づく責任を問われる可能性があります。

これに対して執行役員は、会社法が設置を義務づける役職ではありません。企業が業務執行を効率化する目的で設ける社内制度であり、名称、権限、契約関係は各社の規程によって定められます。したがって、執行役員という名称だけで会社を代表したり、取締役会の決定を単独で変更したりはできません。法的な位置づけを確認する際は、会社法上の機関か、社内規程上の役職かを最初に区別すべきです。具体的な違いは、次の各項目で詳しく見ていきます。

取締役は会社法上の役員

株主から経営を託され、会社の重要な判断に関わる立場が取締役です。株式会社では、取締役は会社法に基づいて設置される機関の一つであり、単なる社内の役職とは異なります。選任や解任、任期、職務上の責任には法令上のルールが適用されます。

取締役は、原則として株主総会の決議によって選任されます。取締役会設置会社では、取締役会の一員として経営方針、重要な財産の処分、多額の借入れなどを決定し、代表取締役や担当取締役による業務執行を監督します。取締役会を置かない会社でも、会社の業務を決定し、業務を執行する役割を担います。

職務を果たす際には、会社に対する善管注意義務や忠実義務を負います。法令や定款に違反したり、任務を怠って会社に損害を与えたりした場合、損害賠償責任が発生する可能性があります。会社を代表できるのは原則として代表取締役であり、すべての取締役が単独で契約を締結できるわけではありません。

取締役の権限は肩書きではなく、会社法、定款、取締役会規程によって確認すべきです。登記事項や社内の決裁権限も照合すれば、誰が最終的な判断を担うのかを明確にできます。

執行役員は会社法上の役員ではないのが一般的

社内で「執行役員」という名称を使っていても、その肩書きだけで会社法上の役員になるわけではありません。執行役員制度は、取締役会が担う経営判断と、各事業部門が担う業務執行を分けるために、企業が任意で設ける仕組みです。会社法に共通の選任方法や権限が定められているわけではなく、具体的な内容は各社の規程に委ねられています。

一般的には、取締役会や代表取締役が決定した方針に基づき、担当事業の計画を実行し、売上、利益、人員、業務品質などの成果に責任を負います。雇用契約を結んだまま執行役員に就任するケースも多く、取締役のように株主総会で選任される必要はありません。任期や報酬、解任の条件も、社内規程や契約で定めます。

ただし、執行役員が取締役を兼ねる会社では、兼任している範囲で会社法上の責任を負います。反対に、執行役員であることだけを理由に、会社を代表したり、取締役会の決議を変更したりする権限が生じるわけではありません。実務では、執行役員規程と職務権限規程を確認し、決裁範囲、報告先、責任の範囲を明文化することが最も確実です。肩書きではなく、任命の根拠と与えられた権限を確認すべきです。

執行役員と取締役の役割の違い

経営会議で決めた方針を、誰が判断し、誰が現場の成果に変えていくのかを整理すると、両者の役割が見えやすくなります。取締役と執行役員は同じ経営チームに属しているように見えても、担う責任の方向が異なります。

取締役は、会社全体の持続的な成長を見据え、事業計画や投資、組織、人事などの重要事項を決定します。決定した内容が適切に実行されているかを監督し、必要に応じて方針を修正する役割も担います。目先の業務だけでなく、株主や取引先、従業員などへの影響を踏まえて判断する立場です。

執行役員は、取締役会などで決められた方針を、担当する事業や部門の具体的な活動へ落とし込みます。目標設定、予算管理、人員配置、取引先との調整などを進め、計画と実績の差を把握しながら成果を出す責任を負います。これは船にたとえるなら、取締役が航路や到着地点を決め、執行役員が現場の状況を見ながら船を動かすような関係です。

取締役は決めて監督し、執行役員は実行して成果を報告するという整理が基本です。ただし、企業によって兼任や権限の範囲は異なるため、次の各項目で実際の職務内容を確認します。

取締役は経営の意思決定と監督を担う

新規事業への投資、重要な契約の締結、組織再編など、会社の将来を左右する案件では、目の前の利益だけで判断できません。取締役には、会社全体の状況を把握したうえで、経営の方向性を決める役割があります。取締役会設置会社では、取締役会の一員として重要な業務執行を決定し、代表取締役などが行う業務を監督します。

監督とは、担当者の仕事を細かく指示することではありません。決定した計画が適切に進んでいるか、法令違反や重大なリスクがないか、資金や人材が適切に配分されているかを確認し、必要に応じて修正を求めることです。業績が好調なときでも、内部統制やコンプライアンスに問題がないかを確認する必要があります。

取締役会では、議案を承認するだけでなく、前提となる市場環境や財務情報を検討し、疑問点を質問して意思決定に参加します。取締役が十分な情報を集めず、他の役員に任せきりにすれば、任務懈怠を問われる可能性があります。取締役は、経営を決める人であると同時に、決定と実行を検証する人でもあります。そのため、会議資料の確認、議事録の整備、定期的な業務報告の受領まで含めて、監督の仕組みを運用することが必要です。

執行役員は業務執行の責任を担う

事業計画を実際の売上やサービス品質につなげるには、方針を現場の行動へ変換する責任者が必要です。執行役員は、取締役会や代表取締役が示した経営方針を受け、担当する事業や部門を指揮しながら、設定された目標の達成を目指します。

具体的には、年度計画の策定、予算の配分、人員配置、業務プロセスの改善、取引先との調整などを進めます。計画を作って終わりではなく、売上高、利益率、顧客満足度、納期などの指標を確認し、実績が目標から離れた場合は原因を分析して対策を講じます。必要な支援や方針変更があるときは、取締役や担当役員へ報告し、判断を仰ぐことも職務の一部です。

現場に近い立場だからこそ、市場の変化や顧客の反応を早くつかめる点が強みです。反面、独断で会社全体の方針を変更したり、権限を超えて重要な契約を締結したりしてはいけません。執行役員の責任は、与えられた権限の範囲で業務を動かし、成果と課題を経営陣へ正確に伝えることです。職務権限規程には、決裁できる金額、承認が必要な事項、報告の頻度を具体的に定めるべきです。これにより、迅速な実行と適切な監督を両立できます。

執行役員と取締役で異なる報酬・契約・任期

役職に就いた後の待遇や在籍期間を確認すると、両者が別の制度で運用されていることが分かります。報酬の決定方法、会社との契約関係、選任や更新の手続きは、肩書きが近くても同一ではありません。実務では、給与規程だけでなく、定款や役員規程、執行役員規程まで確認する必要があります。

項目取締役執行役員
報酬定款または株主総会の決議などで定める会社規程や個別契約に基づき定める
契約関係会社との委任関係が基本雇用契約を維持するケースが一般的
任期会社法に基づく任期がある社内規程や契約で期間を定める
選任原則として株主総会で選任取締役会など社内手続きで選任

取締役の報酬は、株主の監督が及ぶよう、会社法上の手続きに従って決定されます。執行役員の報酬は、業績目標や担当範囲を踏まえた給与、賞与、業績連動報酬として設計される場合があります。任期や契約を曖昧にしたまま運用すると、退任時の処理や報酬の根拠で紛争が起きやすくなります。次の項目では、報酬と雇用関係、選任方法と任期を分けて確認します。

報酬と雇用関係の考え方

同じ会社から支払われる報酬でも、その根拠が役職によって異なる点に注意が必要です。取締役は会社と委任関係にあるため、給与として扱うのではなく、役員報酬として設計するのが基本です。報酬額や算定方法は、定款の定め、株主総会の決議、取締役会の決定など、会社法上の手続きに沿って定めます。

執行役員は、会社との雇用契約を維持したまま就任するケースが一般的です。その場合は、基本給、賞与、業績連動報酬などを就業規則や賃金規程、個別の契約書に基づいて支給します。役職手当だけでなく、目標達成度や担当事業の成果を評価に反映させる設計も可能です。取締役を兼任する場合には、取締役としての報酬と執行役員としての給与を区分しなければなりません。

取締役の報酬を社内決裁だけで変更し、株主総会の決議を経ていない状態になっていないだろうか?このような手続きの不備は、後から報酬の返還や責任問題につながります。報酬の支給根拠、評価基準、契約上の地位を文書で整理することが、適正な運用の出発点です。人事部門と法務部門が規程を確認し、兼任者の扱いまで明記すべきです。

選任方法と任期の違い

就任の手続きを確認すると、取締役と執行役員が異なる制度で管理されていることがはっきりします。取締役は、原則として株主総会の決議によって選任されます。取締役会設置会社では、株主から経営を託された取締役が取締役会を構成し、その中から代表取締役を選定する流れが一般的です。

取締役の任期は、会社法上、原則として選任後2年以内に終了する事業年度の最終の定時株主総会の終結時までです。非公開会社では、定款によって任期を最長10年まで伸長できます。再任は可能ですが、任期満了のたびに必要な手続きを行い、役員変更登記が必要になる場合があります。

執行役員は、株主総会で選任する必要はなく、取締役会や代表取締役、社内の選考委員会など、会社が定めた方法で就任します。任期も会社法で一律に決まっていないため、1年ごとの更新制や、職務を担当する期間に合わせた設定が可能です。業績や組織改編を踏まえ、再任しない判断も社内規程に基づいて行います。

選任者と任期を混同しないため、取締役は株主総会議事録と登記、執行役員は任命通知と社内規程を確認すべきです。退任日、再任手続き、任期満了後の雇用関係まで文書で整理しておくと、引き継ぎや報酬の処理も円滑になります。

執行役員制度を導入するメリットと注意点

組織が拡大すると、取締役がすべての事業判断と現場の進行管理を担うことは難しくなります。そこで、経営の意思決定と業務執行の責任を分ける仕組みとして、執行役員制度を導入する企業があります。制度の目的は、単に役職を増やすことではなく、判断の流れと責任の所在を整えることです。

導入によって、取締役は中長期の経営戦略や監督に集中しやすくなり、執行役員は担当事業の判断を速やかに進められます。部門責任者に一定の権限を与えれば、顧客対応や市場変化への反応も早くなります。取締役候補となる人材を登用し、経営経験を積ませる育成の場として活用できる点も利点です。

ただし、取締役と執行役員の権限が重なると、承認の遅れや責任の押し付け合いが起こります。執行役員の肩書きだけが先行し、決裁権限や報告義務が定まっていなければ、制度は形骸化します。導入前に、誰が決め、誰が実行し、誰が結果を検証するのかを規程で明確にすべきです。そのうえで、権限移譲の範囲、評価方法、任期、取締役会への報告手順を設計します。次の項目では、迅速な意思決定と人材登用の効果、権限設計が曖昧な場合のリスクを分けて確認します。

意思決定の迅速化と人材登用のメリット

現場で生じた課題を、毎回取締役会の判断に委ねていては、顧客対応や事業機会を逃すことがあります。執行役員に一定の決裁権限を委譲すれば、担当部門の責任者が状況を確認し、社内規程の範囲内で必要な対応を速やかに進められます。取締役は個別案件の処理から離れ、中長期の成長戦略や全社的な監督に集中しやすくなります。

制度は人材登用の面でも有効です。部長や事業責任者を執行役員に任命し、売上、利益、顧客満足度などの成果に責任を持たせれば、経営者としての判断力を実務の中で養えます。取締役に就任する前の候補者を見極める機会にもなり、次世代の経営人材を計画的に育成できます。専門分野に強い人材を登用し、事業ごとの責任を明確にする効果もあります。

ただし、権限を渡すだけでは成果につながりません。決裁できる範囲、目標、報告先、評価基準をあらかじめ定め、実績を定期的に確認する仕組みが必要です。意思決定を速くするには、権限移譲と報告体制を一体で設計することが最も効果的です。導入時は、まず一つの事業部門で試行し、判断の速さや成果を検証してから対象を広げる方法が現実的です。

権限設計が曖昧な場合のデメリット

承認を得るべき案件なのか、担当者が単独で決めてよい事項なのかが不明確だと、業務はすぐに滞ります。執行役員が判断を控えて取締役へ確認を繰り返せば、顧客対応や投資の機会を逃します。反対に、権限を超えた契約や支出を独断で進めれば、会社に損害が生じた際の責任の所在も曖昧になります。

取締役と執行役員の指示が食い違うケースも注意が必要です。誰の決定を優先するのか、報告先はどこか、取締役会への付議が必要な金額や案件は何かを定めていなければ、現場は判断できません。業績評価についても、成果だけを求めながら必要な権限や予算を与えなければ、執行役員に過大な責任を負わせる結果になります。

ちなみに、権限規程は作成しただけでは機能しません。組織変更や新規事業の開始に合わせて、決裁金額や報告経路を見直す必要があります。実効性を高めるには、権限、責任、承認者、報告期限を一つの表に整理し、対象者へ定期的に周知することが最も効果的です。導入後は、判断に時間がかかった案件や承認が差し戻された案件を記録し、規程の不足を具体的に修正すべきです。明確な線引きがあってこそ、執行役員制度の迅速性を生かせます。

執行役員と執行役を混同しないための整理

名称が似ているため、社内の執行役員と会社法上の執行役を同じ役職として扱ってしまうケースがあります。しかし、両者は根拠となる制度も権限の強さも異なります。取締役との関係を正しく整理するには、まず「執行役員」は企業が任意で設ける役職であり、「執行役」は会社法が定める機関であると区別することが必要です。

執行役員は、一般的に取締役会や代表取締役の方針を受け、担当事業や部門の業務を実行する社内責任者です。雇用契約を維持して就任する場合も多く、権限や任期、報酬は会社の規程や契約で定めます。名称の使い方は企業ごとに異なり、法令上の共通ルールはありません。

これに対して執行役は、指名委員会等設置会社に置かれる会社法上の役職です。取締役会から委任を受けて業務を執行し、会社を代表できる範囲も法令や定款に基づいて定められます。会社法上の役員として、取締役とは異なる責任を負う点も見逃せません。

「執行役員」と「執行役」は、最後の「員」があるかどうかだけでなく、法的な根拠と権限の範囲で判断すべきです。社内文書や契約書で表記を統一し、取締役、執行役員、執行役を混在させない運用が必要です。次に、指名委員会等設置会社の執行役との違いを詳しく確認します。

指名委員会等設置会社の執行役との違い

会社法上の「執行役」は、指名委員会等設置会社に置かれる法定の機関です。社内制度として設ける執行役員とは、名称が似ていても根拠が異なります。指名委員会等設置会社では、取締役会が経営の基本方針や重要事項を決定し、執行役に大幅な業務執行の決定を委任できます。執行役は委任された範囲で業務を執行し、代表執行役は会社を代表します。

執行役は、株主総会ではなく取締役会によって選任され、任期や報酬、職務上の責任も会社法の規定を受けます。取締役会が執行役の職務を監督するため、経営の監督と業務執行を分離しやすい点が制度上の特徴です。これに対し、執行役員は会社法上の機関ではなく、権限や選任方法を社内規程で定めます。

もちろん、執行役員も実質的に大きな権限を持つため、執行役と同じように扱ってよいという意見もあります。しかし、肩書きや実務上の権限が似ていても、会社法上の責任や代表権まで同じになるわけではありません。契約書や登記、社内規程では「執行役」と「執行役員」を明確に書き分けるべきです。企業の機関設計を確認し、誰が執行役に該当するのかを取締役会規程と登記事項から確認することが実務上の基本です。

まとめ

肩書きが並ぶ組織図を前に迷ったら、まず法的な立場と実際の権限を切り分けて確認することが近道です。この記事で見てきた通り、取締役は会社法上の役員として経営の意思決定と監督を担い、執行役員は社内制度に基づいて業務執行の責任を負う立場です。両者の違いは、名称よりも、選任方法、報酬の根拠、任期、会社を代表できるかどうかに表れます。

制度を理解するうえでは、執行役員と執行役を混同しない視点も欠かせません。執行役は指名委員会等設置会社における会社法上の役職であり、一般的な執行役員とは根拠も責任も異なります。ここを取り違えると、契約や決裁、登記の判断を誤りやすくなります。

実務で最初に確認すべきなのは、肩書きそのものではなく、定款、取締役会規程、執行役員規程、職務権限規程の四点です。組織図や役員一覧を見るときは、誰が決め、誰が実行し、誰が監督するのかを書き出して整理してください。そのうえで、自社の規程と登記事項を照合すれば、役割分担と責任の所在をより正確に把握できます。

本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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