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事業承継コンサルティングサービス

事業承継のプロフェッショナルによる実行支援

■事業承継が問題となる時代背景

中小企業庁によると、今後10年の間に、70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人、うち約半数の127万人(日本企業全体の1/3)が後継者未定です。その中には黒字の企業もあります。 帝国データバンクの調査によると、2018年1月時点の全国の経営者の年齢は、平均で59.5歳です。年商1億円以下の企業に絞ってみると、70歳以上の経営者の割合が24.2%です。日本企業の多くで経営者の高齢化が進んでおり、事業承継は待ったなしの状況なのですが、日々の経営に忙しい中小企業の経営者にとって、わかっていても“後回しになりがち”な経営課題になっています。

■事業承継とは?

事業承継とは、会社などの「事業」を後継者に引き継がせることです。現金や預貯金、不動産などの個別の資産ではなく、「事業」そのものを引き継がせることがポイントです。「事業」には、会社が有している個別資産だけではなく、会社の経営権や会社のブランド、信用や取引先、負債などの一切合切が含まれますので、単純な遺産相続と同じようにすすめることはできないのです。

■なぜ、中小企業の場合、事業承継は深刻な問題になるのか?

株式公開企業や大手企業の場合、代表取締役の交代は比較的簡単で頻繁に行われることも多く、代表取締役の候補者もたくさんいます。また、特定の経営者に依存する部分が少ないため、経営者である代表取締役が代わったからと言って、会社の運営が大きく変化したり停滞したりすることは少ないです。

これに対し、中小企業の場合、会社の運営全体が経営者本人に大きく依存していることが多いです。例えば、社長が若い頃に起業してどんどん大きくしてきた中小企業の場合、ワンマン経営になっていて、会社の機能の多くの部分が経営者1人の肩にかかっていたりします。このような会社で経営者が倒れたり交代したりしたら、大きな混乱が生じてしまうのです。だからこそ、中小企業で経営者が交代するときには、慎重に対応する必要があります。また、経営者に何かあってからでは遅いため、まだ元気なうちに、早期に承継作業に取り組む必要があります。

■事業承継に失敗すると、どうなるのか?
最近、中小企業の経営者の高齢化などにより、事業承継が注目されることも増えていますが、中にはうまく対応できずに失敗したり、そもそも事業承継に取り組まなかったりすることもあります。事業承継に失敗したら、どうなるのでしょうか?

■大きな損失が発生する
未上場の中小企業において事業承継ができないと、その会社は「廃業」せざるをえません。廃業すると、会社の持っている資産をすべて売却し、負債を支払って清算して会社はなくなります。問題は、資産などの個別財産が失われるだけではなく、その企業の持っている「価値」もすべて失われることです。

日本の中小企業には、非常に高度な技術や特許を持った優秀な企業が多いですが、事業承継ができないと、そうした企業が持っている優れた技術や特許、ブランド価値もなくなってしまうので、大きな損失となります。より多くの中小企業が廃業によって消えていくと、日本の競争力自体もどんどん低下して、産業も衰退してしまいます。

■なぜ事業承継コンサルタントが求められるのか?

□事業承継支援の入り口で、初期対応できる人が少ないから
□悩んでいる経営者の背中をそっと押してあげられる支援者が少ないから
□事業承継の相談はプライベートなことやデリケートなことが相談内容に含まれるので、支援することが難しいから

このような課題を解決するため、国は、2018年からの10年間を「事業承継を集中してサポートする期間」と位置づけました。最初に経営者と面談する立場(ファーストコンタクターと呼びます)にある行政窓口担当者、商工会議所・商工会の経営指導員、金融機関の営業職員、保険会社のライフプランナーなど、現場で事業承継を支援する人材がより一層求められています。

■事業承継コンサルタントの役割

□中小企業の経営者の相談を最初に受ける。
□事業承継に関する相談の「前さばき」を行う。
□中小企業の経営者と専門家をつなぐ。
□中小企業の経営者の気持ちに寄り添う。

事業承継コンサルタントは、中小企業の経営者と最初に面談し、悩みに寄り添い、課題をヒアリングして整理します。その過程で中小企業経営者の悩みが自然に解決することもあります。一方で、課題を解決するためには高い専門性が必要であったり、緊急性が高い場合もあります。その場合は、専門家に案件を引き継ぎます。案件ごとに専門性と緊急性を判断し、専門家に引き継ぐべきか、自分でじっくり取り組む方がよいかを整理します。これを「前さばき」と言います。

■事業承継コンサルタントに相談できること

後継者不足などによって事業を承継する人がいない場合や、企業を売却・買収したい場合には、「事業承継・M&Aエキスパート」に相談してみましょう。自分一人ではなかなか進まない手続きや、売却先・買収先の選定なども、プロに依頼することで効率的に行うことができます。ここでは、事業承継・M&Aエキスパートとはどのような資格で、どのようなことを相談できるのかご紹介します。

■事業承継・M&Aエキスパートとは?
事業承継・M&Aエキスパートとは、事業承継やM&Aの専門知識を持つアドバイザーのことです。事業承継・M&Aエキスパートは、事業承継に悩む経営者の相談を受け、問題の解決を目指します。

事業承継・M&Aエキスパートの認定制度には、「事業承継・M&Aエキスパート」「事業承継シニアエキスパート」「M&Aシニアエキスパート」の3種類があります。事業承継・M&Aエキスパートは、基本的な知識を確認・習得するスタンダードな資格です。事業承継シニアエキスパートとM&Aシニアエキスパートの有資格者は、事業承継およびM&Aにおける実務を行えます。

事業承継は、計画から完了まで平均で5年から10年かかることも多く、労力がかかり過ぎてしまうため、経営者一人ではできることに限界があります。経営を引き継ぐ人や会社がすぐに見つかった場合でも、後継者の育成のためにさらに長い期間を要することもあります。事業承継問題はまだまだ先と考えている経営者も、着手が遅れてしまうとスムーズに引退することができないことも多々あるのです。

事業承継完了までの時間をなるべく短縮したい、事業承継に関する手続きの手間を軽減したい、会社の将来への不安を早い段階で解消したいと考えているのなら、これらの資格を有する事業承継のプロに相談してみましょう。

■環境の整備・改善から承継完了までには長い時間がかかる
事業承継・M&Aの準備は、経営状況や経営課題の把握から始まります。そして、事業承継に向けた経営改善(組織の整備や不要な資産の処分など)を行います。経営をよりよい状態に導いたら、ようやく承継に向けた具体的な作業に進みます。親族や従業員への承継の場合「事業承継計画」を策定するのが一般的です。社外への引き継ぎを考えている場合には、ここでマッチングが実施されます。

マッチングにも問題がなければ、事業承継やM&Aの作業をさらに進めて完了します。このように、事業承継やM&Aは、社内の環境・経営状況の改善から始まるため、完了までに長い時間がかかってしまうのです。

■事業承継の3つのスキーム

主に親族に承継する方法、従業員に承継する方法、M&Aによる方法の3つがあるのでまずはここから適切な方法を選ばないといけません。また、それぞれについて専門的な対応が必要となるので、自社内だけでは対応が困難でしょう。

そこで、スムーズに事業承継を進めたいなら、事業承継コンサルタントに相談をして、アドバイスを受けながら必要なサポートを受けるべきです。以下で、事業承継コンサルタントがどのような手助けをしてくれるのか、説明します。

1、会社の現状を把握する。
事業承継コンサルタントに事業承継の相談をしたら、まずは会社の現状を把握するところから作業を開始します。以下のような項目を調査します。

2、後継者候補がいるか?
親族や特定の従業員などの後継者候補がいたら、その人への承継を進めますが、いなければ後継者探しから始めないといけません。

3、どのような資産があるのか?
資産内容によって、事業承継の対価が変わってきますし、経営者の個人資産があったらその所有権移転も検討しなければなりません。

4、株式の評価額はいくらか?
株式を後継者に承継させるとき、贈与税が発生しますし、株式を譲渡するときにも評価額が関係します。後継者以外の相続人の遺留分を計算するためにも、評価額が明らかになっている必要があります。

5、株式の保有状況はどのようになっているか?
事業承継の際には、後継者に株式を譲渡しなければならないので、現経営者が保有していない株式を買い集めないといけない可能性があります。

6、事業承継の方法を選択する?
会社の現状を把握できたら、次に事業承継の方法を検討しなければなりません。このとき、弁護士は、後継者決定のための助言をしてくれます。現状をふまえて、もっとも適任な親族や従業員、役員などがいないかを、事業承継コンサルタントと相談して決定しましょう。経営の資質を備えた適任者がいない場合には、M&Aを検討する必要もあります。

どの方法で事業承継をするかを決定したら、事業承継コンサルタントが事業承継計画書を作成してくれます。今後は、その内容に従って、会社の経営と事業承継の作業を進めていくことになります。

7、関係者に説明をする
事業承継を進めるに際し、段階的に関係者に説明をしていく必要があります。

まずは承継候補者に説明をして、承継を了承してもらう必要がありますし、次に親族への説明も必要です。会社の重要な役員、キーパーソン、さらには取引先や金融機関にも周知していかなければなりません。一般の従業員にもきちんと説明をして理解を得ておかないと、モチベーションが落ちて企業の生産性が下がってしまうおそれがあります。説明会を開催するなどして、丁寧に事業承継後のプランを伝えて、廃業のリスクや事業承継によって得られるメリットを理解してもらいましょう。

8、事業承継の具体的な作業をすすめる
事業承継コンサルタントは、事業承継の具体的な作業の手助けや助言もしてくれます。もし、現経営者が譲渡に必要な十分な株式を持っていない場合には、後継者に引き継ぐために買い集めないといけません。

また、後継者は、すぐに経営ができる状態ではないでしょうから、教育をしてスキルアップさせる必要がありますし、今の経営者が行っている業務の引継ぎ作業も必要です。経営についての実務経験を積ませて、各種のセミナーに参加させたり本による勉強をさせたりします。

また、経営者が会社借り入れの個人保証をしていたり、個人資産を担保に入れていたりする場合には、金融機関と交渉をして、保証人を解除してもらい、担保を次の経営者の資産と入れ替えてもらったりする必要があります。事業承継コンサルタントは、こういった交渉の代行もしてくれます。

■事業承継コンサルタントへの相談のタイミング
いつのタイミングで事業承継コンサルタントに相談したら良いのでしょうか?

これについては、早ければ早いほど良いです。先ほどの例のように、まだどのような方法で事業承継したら良いのかまったく決まっていない段階でも、事業承継コンサルタントが話を聞いて、ベストな方法を助言してくれます。1回の相談では決まらない場合には、継続的に相談と実践を繰り返して、自社にとって最も良い方法をプロと一緒に模索していくことができます。

また、承継者の候補者がいない場合でも、相談する価値はあります。その場合、事業承継コンサルタントが話を聞いて、承継できそうな関係者を提示してくれることもありますし、本当に適任者がいない場合には、M&Aで第三者の引継ぎ者を探す方法もとることができるからです。


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