キャリアアンカーとは?顧問やフリーランスの生き方が魅力的な訳

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 働き方改革   パーマリンク

今後のキャリアを描く際は、自分自身のこれまでを振り返り、何をしたいか、何が得意なのかを考えることが一般です。です。しかし、これは表面的で、ライフステージや周囲の環境の変化に影響されます。

さらに、「どのように働きたいか」が考慮されていません。そこで注目されているのが、自分のキャリアアンカーを考えることです。

今回は、キャリアアンカーの概要と、定め方、顧問やフリーランスとして生きるキャリアアンカーについて解説します。

■キャリアアンカーとは?
キャリアアンカーとは、仕事の経験を意味する「キャリア(career)」と船の錨を意味する「アンカー(anchor)」を組み合わせた言葉です。

キャリアアンカーは、「仕事の条件でこれだけは譲れない」「家庭のためでもこれだけは犠牲にしたくない」といったような、個人がキャリアを選択する際に最も大切にする欲求や価値観を意味します。

キャリアアンカーという概念が生まれた背景には、市場のグローバル化や人工知能の発展などによって業務内容に大きな変化を求められるようになったことから、社員一人ひとりが何を大切にしてどのように働きたいかを把握しようという目的があります。

キャリアアンカーは失敗や成功など、さまざまな経験を経て形成されるもののため、簡単に変わるものではないとされています。

そのため、経験の少ない学生や新卒のうちは、自分の志向や適性がわからず、キャリアアンカーを定めるのは難しいかもしれません。

■キャリアアンカーは譲れない価値観
キャリアアンカーとは、仕事の経験を指す「キャリア」と、船の錨を指す「アンカー」を組み合わせた造語です。組織心理学者のエドガー・シャイン博士によって提唱されました。

キャリアの選択や形成を行う際に、譲れない価値観のことを指しています。

キャリアについての考え方は、ずっと同じではありません。

「これまでは給与が第一条件だったけど、子供が生まれたので多少給与が下がってもワークライフバランスを重視したい」というように、変化していくのが普通でしょう。

キャリアアンカーの特徴に、一般的な自己分析のような「何がしたいか」「何が得意か」(What)といった表面的なことではなく、「どのように」(How)働きたいかを考える点があります。

これまで働いてきた中で得た価値観から、自分の譲れないポイントが何かを分析し、それを中心にキャリアを考えるのです。

■エンプロビアリティ(雇われる力)とは?
そんな会社任せの思考パターンが基本であり、「この部署で働きたい」と、希望を会社側に提出しても、必ず、叶うわけではないのは、今も変わりません。

1960年代~1970年代にかけて、労働組合との激しい闘争をくり広げた日本の企業は、雇用を守ることに積極的でした。労働者は雇用に関して、雇う側(会社)の責任を厳しく問える風潮のなかで働いていました。

バブル崩壊以前の労働観では、「最後は、会社が守ってくれるだろう」と考えて当然でした。

ところが、バブルが崩壊して、長期的な雇用に自信をもてなくなった日本企業は、「エンプロビアリティ(雇われる力)」を社員に求め始めたのです。世の中の風潮も、それに同調していきました。

リストラが次から次へと行なわれ、そして突きつけられた「エンプロビアリティ(雇われる力)」は、寝耳に水のような言葉でした。

「雇う側にも責任はありますが、雇われる側も自分のキャリアに責任をもってください。」
「キャリアは会社ではなく、自分でデザインするものです。」
「キャリアを自分でデザインだって?それって何?何するの?」。

多くの人の頭に「?」が浮かび、この疑問に答える形で「キャリア理論」を広く啓蒙する流れが日本でも生まれました。

■キャリアアンカーが注目される理由
キャリアアンカーは近年、キャリアを考える際の根幹として注目されています。これまでは、企業が求めるスキルや経験に、個人が合わせて働くのが一般的でした。

しかし、企業の人材流動性が高まり、働き方に対する考えも変化していく中、受け身のままでは自分らしく働くことができませんし、企業は優秀な社員を失ってしまう可能性があります。

時代や環境は個人や企業の考えにかかわらず、変化していくものです。

その中で、個人が自分らしく、パフォーマンスを最大限に発揮し、企業がそれを活かして発展するために、キャリアアンカーが重視されているのです。

一般的には高収入・好待遇の環境こそ良い職場とされていますが、必ずしもすべての人がそれで満足するとは限りません。

中には、「高収入は望めないもののプライベートをしっかりと確保できる」「自分のやりたいことに没頭できる」といった条件のほうを好む人も少なくなく、それを見誤ってしまうと、日々大きなストレスを感じながら働くというような事態に陥ってしまうこともあるのです。

心の底から満足感を感じながら働ける仕事や職場を探すためにも、キャリアアンカーは大切な役割を果たしてくれるのです。

■キャリアアンカーの8つの種類?
キャリアアンカーという概念は、マサチューセッツ工科大学の組織心理学者であるエドガー・シャイン博士が提唱しました。

エドガー・シャイン博士によると、キャリアアンカーは大きく8つの種類に分類できるとされています。キャリアアンカーの種類ごとに、それぞれどのような特徴があるのか、どんな仕事や働き方が向いているのかを詳しくご紹介します。

1、専門・職能別
専門・職能別タイプとは、特定の分野で能力を発揮し、自分の専門性や技術が高まることに幸せを感じるタイプです。何かの分野で秀でること、権威になること、エキスパートになることを好みます。

専門・職能別タイプは、1つの分野において新たな課題を見つけて挑戦し続けることで成長していき、他の人よりも正確かつ生産性高く仕事を進めます。

向いている仕事や働き方として、専門・職能別タイプは、特定の仕事に対する高い才能と意欲を持ち、専門家として能力を発揮することが喜びです。技術職や研究職などの、コツコツと自分のスキルを積み重ねていく仕事が向いています。

専門・職能別タイプの人は、向いていない仕事を任されると「自分の能力が生かされていない」と感じてしまうので、満足度が低下します。昇進して管理職になるよりも、現場で職人としてスキルを上げたい、スペシャリストになりたいと考える人が多いです。

2、全般管理
全般管理タイプとは、経営側に立つことに価値があると考える、いわゆる「出世志向」が強いタイプです。専門的な能力よりも企業全体の経営に興味があり、全般的な能力の獲得を重視します。

全般管理タイプは、他人に認められたい気持ちや負けず嫌いな傾向が強く、熱心に仕事に取り組みます。

向いている仕事や働き方として全般管理タイプは、問題解決やマネジメントが好きな傾向にあり、責任を負うことで成長していきます。経営者や管理職などの、スケールの大きな仕事や組織を動かす仕事が向いています。

全般管理タイプの人は、若いうちは多くの職種を経験したいと異動や配置換えも積極的に受け入れ、経験値を上げようと働きます。昇進のために必要であれば、資格や免許などの取得にも熱心に取り組みます。

3、保障・安定
保障・安定タイプとは、一つの組織に忠誠を尽くし、社会的・経済的な安定を得ることを望むタイプです。ハイリスクハイリターンよりもローリスクローリターンを好み、自身や周囲の安定を重視します。

保障・安定タイプは、人生においてもっとも重要なことは「継続性」と「安全性」だと考え、仕事においてもできるだけリスクを回避しようとします。

向いている仕事や働き方として、保障・安定タイプは、保障や安全性を最優先する堅実派であるため、危機管理やリスクマネジメントが得意です。変化を嫌うので、異動や配置換えなどには大きなストレスを受けます。

保障・安定タイプの人は、安定していて終身雇用が期待できる大企業や公務員を目指す人が多いです。他によほど堅実な就職先が用意されていない限りは、転職を考えることはないでしょう。

4、起業家的創造性
起業家的創造性タイプとは、新しい製品を開発する、組織を立ち上げるなど、クリエイティブに新しいものを創り出すことを望むタイプです。リスクを恐れず、新しいものや創造性を重視します。

起業家的創造性タイプは、全力で挑める困難な問題や、困難を解決する過程から得られる刺激を好みます。

向いている仕事や働き方として起業家的創造性タイプは、クリエイティブに新しいものを創り出すことを望むため、発明家や芸術家、起業家を目指す人たちに多いです。

新しいものが好きで自分の創造性を活かしたいという気持ちが強いため、企業に属しても結果的に独立や起業する道を選ぶことが多いです。

起業家的創造性タイプの人は、社内の新規プロジェクトや組織の立ち上げを任せると、高いパフォーマンスを発揮します。

5、自律と独立
自律と独立タイプとは、組織のルールや規則に縛られず、自分のやり方で仕事を進めていくことを望むタイプです。ルールや基準、場の空気に従うことは苦手で、自分のペースを守ることを重視します。

自律と独立タイプは、自分で決めたやり方で、自分のペースやスタイルを守って仕事を進められる環境を好みます。

向いている仕事や働き方として、自律と独立タイプは、規律や他者の作ったルールで縛られるのを嫌がるため、行動の自由度が高い研究職や自分の腕で勝負できる技術職が向いています。

自律と独立タイプの人は、自分の裁量で判断できる規模の会社や、在宅勤務・フレックスタイムなどでの仕事が認められるような職場で最大の能力を発揮します。

自分が納得できるやり方で仕事を進めたいと考えるタイプなので、社長や上司と距離が近く、すぐに提案ができるような環境が望ましいでしょう。

6、社会への貢献
社会への貢献タイプとは、仕事を通して世の中をよくしたいという価値観を持つ人で、社会的に意義のあることを成し遂げたいという思いが強いタイプです。

自分の能力を発揮することよりも、いかに人の役に立つかということを重視します。

社会への貢献タイプは、単に出世や昇給を目指すよりも、自分の仕事が社会に影響を与えるような仕事を好みます。

向いている仕事や働き方として社会への貢献タイプは、誰かを助けたり支援したりするような、医療・看護・教育といった仕事が向いています。企業で働く場合でも、誰かのため・世の中のためになるかどうかを重視します。

社会への貢献タイプの人は、ずさんな仕事や内部不正なども見逃せないので、商品・サービス開発、監査や福利厚生部門の部署で力を発揮するでしょう。

7、ワークライフバランス
ワークライフバランスタイプとは、自分個人の時間や家族との生活、自分の仕事などのバランスや調整に力をいれるタイプです。

決して「楽をしたい」「仕事は二の次」というわけではなく、企業人としての自分と一個人としての自分をどちらも大切にしたいと願い、仕事とプライベートの両立を重視します。

ワークライフバランスタイプは、仕事に熱心に打ち込む一方で、子育てや介護などの家庭生活にもしっかり関わりたいと考えます。

向いている仕事や働き方として、ワークライフバランスタイプは、在宅勤務や育休制度など、働き方の多様化に力を入れている企業が向いています。プライベートが充実していればその分モチベーション高く、会社のために尽力します。

ワークライフバランスタイプの人は、プライベートと両立さえできていれば仕事へのモチベーションは高いため、テレワークや時短勤務などを活用した働き方を用意してあげることで、高い生産性を発揮してくれるでしょう。

8、純粋なチャレンジ
純粋なチャレンジタイプとは、解決困難に見える問題の解決や、手ごわいライバルとの競争にやりがいを感じるタイプです。自身の昇進や昇給、スキルアップなどが目的ではなく「困難な状況への挑戦」そのものが目的です。

純粋なチャレンジタイプは、誰もが無理だと思うような障害を乗り越えること、無謀だと思われるような相手との競争に勝利することなどに喜びを感じます。

向いている仕事や働き方として純粋なチャレンジタイプは、多くの部署を抱える会社や、様々な事業を営んでいる企業が向いています。あえて困難に飛び込みたがる傾向があるため、異動や配置換えに対する姿勢は前向きです。

純粋なチャレンジタイプの人は、日々着実に決まった業務をこなすような仕事には向きませんが、新規事業を立ち上げる際や組織に新しい風を入れたい際には、非常に効果的な人材と言えるでしょう。

■まとめ
日本での「働き方」も、本当に多様になりました。転職するのは当たり前になり、職場に行かなくてもよい会社もあります。

兼業・副業を認める企業まで登場し、今後ますます、自ら行う「キャリア・デザイン」が重要になってきます。

従来の人材市場では、「企業が求める人物像に人材が合わせる」という関係が一般的でした。しかし、人手不足や市場の変化の影響で人材の能力や個性の重要性が見直され、人材のキャリアアンカーと企業の求める人物像のマッチングが求められるようになりました。

社員の性格や価値観に合った人材配置を実現することで、労働生産性の向上や組織全体の活性化、離職率の改善など、企業にとって多くのメリットがあります。

人材の適材適所を実現するために、人事業務の新しい判断基準としてキャリアアンカーを導入してみてはいかがでしょうか。

■最後に
キャリアアンカーは、そうした自身の要となるものであり、キャリアを選択する際は、まさに錨となってくれるでしょう。

キャリアに迷った際は行動することも大切ですが、まずは一度立ち止まり、自分自身の現在の位置や将来の道をじっくり見つめる時間を持つことも欠かせません。

自分自身が満足でき、輝けるキャリアを描くためには、自分にとって本当に大切なものが何なのかをしっかりと知っておくことが大切です。

自分自身のことは、意外と自分ではわからないものですから、職場の同僚や友人といった周囲の人たちとの会話を通じて自分を知ることも重要です。仕事上での強みや能力を発揮するシーン、他者との関わり方の傾向などをヒアリングし、認識を深めましょう。

日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」では、これまで培ってきた経験や、身に付けた専門性をアドバイザーとして活かす事ができるサービスです。

企業の課題は、新規事業支援、人事支援、デジタル支援、技術支援、社外取締役、社外監査役など多岐にわたります。

KENJINSは、ご自身のキャリアや得意分野を活かし、また強みを更に伸ばすことができる活躍の場を提供し、個人事業主として独立していくための活動を支援しています。

日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」は、エグゼクティブな皆様が様々な業界や会社で培った知見を活かし、顧問やプロ人材の方々とクライアント企業を支援分野できる分野が沢山あります。

専任のコンサルタントがあなたのご経験や得意領域をヒアリングし、あなたの経歴を活かすことができる案件を紹介します。

また、案件開始後もコンサルタントがあなたの顧問活動をしっかりフォローします。ぜひ、顧問やプロ人材としてご登録ください。

【顧問報酬100%】顧問契約に特化したプロ人材のエージェント会社
https://kenjins.jp/lp/prokomon/

本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

経営者・採用担当者の皆様へ 日本最大級の顧問契約マッチングサイトのKENJINSでは、年収700万年収1500万クラスのハイクラス人材を、正社員採用よりも低価格で活用可能です。顧問のチカラで圧倒的な成果をコミットします。

この記事にコメントする


この記事の関連記事

OKRとは何か?最先端のITベンチャーがOKRを導入する理由

数々の研究により目標を定めて取り組むと、従業員のパフォーマンスを改善できることが明らかとなりました。 更に目標の難易度を上げて明確なゴールを設定したほうが、達成に向けて従業員のエンゲージメントが一層向上する、という研究結果もあります。 難易度の高い目標を掲げて進捗状況を確認で...[続きを読む]

プランドハップンスタンスとは?天職と言える仕事を見つけるコツ

現在、海外同様に日本でも終身雇用の崩壊から働き方が多様化し、人生100年時代と言われる中、いつ何が起こるか想像することが難しくなりました。 ITテクノロジーの発展・グローバル化などにより、様々な業界や会社のビジネスが予測不能なVUCAの時代と言われています。 つまり、5年後1...[続きを読む]

面談とは?面接と面談の違い・顧問と企業が面談を行うポイント

フリーランスの顧問や副業のプロ人材として顧問契約を獲得する上では、プロフィールの内容が重要になりますが、書類選考後には必ず企業と顧問との間で個別の「面談」が行われる形になります。 面談を行う理由としては、企業サイドによる選考の一環であることはもちろん、顧問サイドでも企業のことを...[続きを読む]

海外営業とは?海外の販路開拓に顧問の人脈やコネが武器なる訳

近年では、新興国の市場規模が先進国をしのぐレベルに発展し、海外戦略の策定と実行がますます重要になってきています。 国内消費に頭打ち感がある業界も多く、海外との取引に目を向けている企業は増えています。今後、海外営業の需要はますます増えることが予想されます。 ただし、外国の交渉相...[続きを読む]

中小企業診断士とは?仕事内容と中小企業診断士の役割について

厳しい経営環境の中、中小企業の社長からは、専門知識だけでなくさまざまな経営課題を解決してくれるプロ人材を求めている傾向が高まっています。 経営課題を解決したい企業のニーズに応えるため、「中小企業診断士」という肩書を持つコンサルタントの活躍が期待されています。 定年退職後に経営...[続きを読む]