OKRとは何か?最先端のITベンチャーがOKRを導入する理由

投稿日: 作成者: KENJINS運営会社社長 カテゴリー: 働き方改革   パーマリンク

数々の研究により目標を定めて取り組むと、従業員のパフォーマンスを改善できることが明らかとなりました。

更に目標の難易度を上げて明確なゴールを設定したほうが、達成に向けて従業員のエンゲージメントが一層向上する、という研究結果もあります。

難易度の高い目標を掲げて進捗状況を確認できるようにするために有名IT企業の間ででよく使われているのが、「目標と成果指標(Objectives and Key Results:OKR)」という手法です。

そこで今回、OKRとは何か?最先端のITベンチャーがOKRを導入する理由について解説します。

■OKRとは何か?
OKRとは、目標管理手法のひとつ。O(objective:目標)とKR(key results:主要な結果)を設定し、個人と企業の目標をリンクさせ、目標設定・進捗確認・評価という一連の流れを高い頻度で行うことで生産性を上げる方法です。

Googleなど、急成長を遂げた有名企業が導入している手法として記事や書籍で紹介されて話題を呼び、日本でも一躍メジャーな目標管理手法となりました。会社が定める目標と、その会社で働く社員の目標を紐付ける目標管理方法のことを指します。

世界的な有名企業でも導入されていることから、多くの企業から注目されるようになったのです。

OKRは、「フォーカス」、「アライメント」、「トラッキング」、「ストレッチ」の4つの原則から成り立っており、それぞれの意味は下記の通りです。

1、フォーカス:大切なことを選択したうえで、そこにリソースを集中すること
2、アライメント:複数の要素間で整合性を取ること
3、トラッキング:状況がどうなっているのかを追跡すること
4、ストレッチ:現状からさらに高みへ挑戦を行うこと

これらの原則がOKRの考え方の根底にあり、OKRの本質を表しているといえるでしょう。

■OKRが導入される背景
業績評価手法の中で、OKRは現在最もトレンドとなっている手法の1つです。なぜ、いまOKRがトレンドになっているのか。そこには、日本的な慣習に基づいた評価が通用しなくなっている背景がありました。

1、日本的な人事評価が通用しない。「公平さ」が 求められるグローバル時代
さまざまな国籍、文化の従業員が在籍するグローバル企業では、 いかにして客観的かつ納得感のある評価を行うかが問題になります。そのため、日本的な主観性の強い人事評価は通用せず、従業員から納得してもらえません。

そこで 客観的で公平な業績評価制度が求められるようになりました。

2、日本企業も、OKRによる公平さを追求する価値はある
業績評価制度を自社に確立するのは難しいのでは、と思う方もいらっしゃることでしょう。確かに、スムーズに業績評価制度を確立するのは至難の技です。

実際、業績評価制度は、従業員が人事評価の主観性を「飲み込める」ようにするための仕組みだとする経営学者もいるほどです。

しかし、一方でOKRを導入するGoogleの人事のトップであるラズロ・ボックは著書『ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える』の中で、適切な業績評価制度があれば従業員はのびのびと能力を発揮し伸ばせるという考えに基づいて、業績評価の公平さを追求していると書いています。

業績評価の公平さを「キレイごと」の一言で済ませずに追求しているからこそ、Googleの人材は優秀であると言われるのかもしれません。

もしそうだとすれば、今後さらにグローバルに展開していく日本の企業でも、OKRによる公平さの追求を検討する価値は十分にあると言えるでしょう。

■OKRを導入する3つのメリット
OKRを導入することのメリットはいくつかあります。

1、社員の成長を促進することができる
OKRでの目標設定では、達成率が60~70%になるように設定することが多くなっています。達成できないほど高すぎる目標ではなく、かといって、簡単に達成できてしまうほどの目標は設定しません。

そのため、常に個人が現状に甘んじることなく、さらに高い目標を掲げ、それを達成できるように促すことができるのです。また、OKRでは従来の計画方法に比べても高頻度で設定や再評価ができるという特徴があります。

2、社員も目標に対しての進捗状況を高頻度で振り返ることができる
常に目指すべきゴールを見据えながら仕事に取り組めるのです。また、会社と社員の目標を紐付けることができるのもOKRのメリットといえるでしょう。

OKRは会社のビジョンや理念に紐付けたものに設定します。

会社の目標とその達成の鍵となる重要な成果をチームの目標と紐付けていくことで、会社はどのような方向で進んでいきたいのかをはっきり示すことができます。

また、社員も自分たちに期待されているのはどのようなことなのかを把握できます。そして、最終的に個人のKey Resultsに繋げることで、生産性をより上げることも可能になるでしょう。

3、チームのKey Resultsは個人のObjectiveと紐付けて考える
チーム全体の目標意識を統一できるだけでなく、その目標を達成するために、それぞれのメンバーが責任を持って日々の業務にあたれるようになります。

何のために働いているのか、よく分からないまま業務をこなすのと、自分が達成するべきことは何なのかや、チーム全体で目指すべきゴールが分かりながら働くのとではやりがいの大きさも異なるのです。

■OKRの3つのデメリット
1、従業員数が少なく、1人がマルチタスクを求められる環境では機能しにくい。
2、短期間でのレビューや見直しなどの運用が重要な手法のため、その時間がとれない企業では機能しない。
3、高い目標を設定するぶん、未達成のストレスがかかる可能性も高まる。

短いサイクルで目標を更新・管理していくことを考えると、マネジメント部門の体制に余力があることが重要なようです。

■OKRの導入と5の運用ステップ
OKRを導入することで、企業としての目標を社員に明確に提示できるようになるだけでなく、チームも社員個人も、その目標を達成するためには何をすれば良いのかを明確にすることができます。

このような目標管理方法を取り入れることで、組織全体の活性化に繋がったり、業務の効率化が図れるようになったりするというメリットがあるのです。ここからは、OKRの具体的な導入方法と運用方法について解説していきます。

OKRを導入しても正しい運用方法をおこなわないと、正しい成果が出ないこともあるでしょう。しっかりと運用方法を学び、生かしていくことが大切です。

ステップ1、目標(Objectives)の設定
効果の高い成果を得るためには目標(Objectives)の設定が大切です。目標は、簡単に達成できるものではなく、到達できるかどうかわからないくらいの難易度の高いものを設定するようにしましょう。

理想的な数値としては、達成率が60~70%程度になるのが良いといわれています。また、定量的な数値や誰が見ても分かるような言葉を使って表現することが大切です。

OKRにおける目標は、個人だけでなくチーム全体で共有する必要があります。分かりやすい言葉で表現することで、全員の目標意識を揃えることができ、目標達成に向けた行動にも取り組みやすくなるでしょう。

ほかにも、目標数を3~5個にすることや、期限を明確に区切ることも重要です。目標数に関しては、5個よりも多い数を設定してしまうと、目標に対する集中が分散してしまうため、それぞれの目標に対して効果的な結果が得にくいとされています。

一般的には、5個までくらいの目標にしたほうが集中してその目標に向かっていけるので良いといわれていますが、それぞれの目標の難易度が高ければ少なめに設定したほうが良いです。いくつの目標を掲げるかは、メンバーのポテンシャルも考えながら設定するようにしましょう。

なお、定めた目標に期限を設けておくことで、その目標が現実味を増し、メンバーも目標達成に向けて行動しやすいというメリットがあります。期限は、1年もしくは四半期単位で設定されることが多いです。

ステップ2、主要な成果(Key Results)の設定
主要な成果(Key Results)は定量的な目標を設定します。成果も、目標の設定のときと同様に、誰が見ても分かるような分かりやすい表現かつ、数値化した目標を掲げることが大切です。

このことにより、客観的な判断が可能になり、目標に対しての結果の測定をするときも容易になるでしょう。なお、成果の目標達成率は70%以上になるように設定していきます。

また、1つの達成目標に対しては、3~5個程度の成果目標を設定すると良いです。3~5個の成果目標を立てることで、目標を達成するには具体的にどのような行動をしなくてはいけないのかが、はっきり分かるようになるでしょう。

なお、成果目標を立てるうえで重要なのは、設定した成果目標を達成したことで、最終的な目標が達成できるような仕組みにしないといけないことです。

成果目標を達成したにもかかわらず、最終的な目標は達成できないのであれば、目標に対する成果目標を設定した意味がありません。そのような事態を避けるためにも、最終的な目標を達成できるための成果目標をしっかり考えることを心がけるのが大切です。

ステップ3、OKRの共有と公開
目標を達成するためにも、あらかじめ設定したOKRは社内インフラなどを利用して、全社員がいつでも閲覧できる状態にしておくことが必要になります。目標を立てただけで満足して、実際の業務に生かすことができなければ、OKRを導入したのは成功といえないでしょう。

全員がいつでも見られるようにして、常に目標達成を意識しながら業務をおこなうことが大切なのです。

また、経営陣が全社員の前で、これからの会社の目標に関するプレゼンテーションをおこなうのも有効な手段です。全社員に共有したり、宣言したりすることで、社員の結束力を強化し、更なる効果の発揮を期待することができます。

ステップ4、フィードバック
OKRで目標を立てるだけで良いということではなく、正しい結果を得るには目標の達成度合いを定期的に確認したり、フィードバックをおこなったりするのがおすすめです。

このようなフィードバック作業をすることで、はじめに定めた期限内で目標が達成できるかどうかを検証していきます。

最低でも月に1回はフィードバックのタイミングを設け、チームで個人目標の達成度合いを確認し、お互いに評価していくことが大切です。

このような機会を設けることで、組織全体の達成目標を再認識することに繋がるだけでなく、個人目標の進捗状況をチーム全員が把握できるというメリットがあります。

定期的に確認のタイミングがあると決まっているだけでも、モチベーションアップに繋がることもあるでしょう。フィードバックに関しては、週のはじめに開催されるミーティングであるチェックインと、週の終わりに開催されるミーティングであるウィンセッションの実行が推奨されています。

特にウィンセッションでは、一週間で取り組んだことの成果を発表していくため、できなかったことよりもできたことに着目してセッションが進行していくのです。このように、達成できたことに注目する機会を設けることは、社員のモチベーションを保つ機会にもなり得ます。

ステップ5、検証と評価
OKRは目標管理方法なので、最終的に設定した期日に達したタイミングで目標の達成度合いを評価しなくてはいけません。評価では、Key Resultsが70%ほどに到達していた場合は達成と見なすことができます。

各部署やチームごとに達成度合いを算出し、どれくらいの達成率であったのかを全社員に公開、共有するのです。

OKRではあらかじめ、目標と結果をすぐに確認できるようにしてあるため、評価にはあまり時間を必要としないでしょう。

目標を達成できた場合も、そうでない場合も、取り組みの過程や評価内容は次回のOKR設定や経営の最適化に生かすことができます。そのため、それらを貴重な材料としてしっかり把握するようにしましょう。

■OKR の作成時に注意すべき5つの落とし穴
OKR で明確な目標を設定し、合意形成された成果指標によって達成度を測れるようになると、チーム内では成功への意欲が高まり、組織は優先度の高い目標に集中的に取り組めるようになります。

1、OKR がストレッチ ゴールであるという説明の欠如
ストレッチ ゴールの設定では、その実現に取り組むチームはもちろん、目標達成の一環である仕事にかかわる他のチームとも、十分なコミュニケーションをとる必要があります。

自分のプロジェクトが他のチームの目標と関係がある場合は、その目標設定の方針をしっかりと理解しておきます。他のチームがストレッチ ゴールを設定している場合、そのチームのOKR は70% 程度実現されるものと考えましょう。

2、「現状維持でよし」的なOKR
チームやその顧客が本当に必要としていることを目標にするのではなく、現在やっていることを一切変更せずに達成できそうな目標を設定してしまう場合があります。

これを検証するには、チームの現在の仕事と新たに要請されているプロジェクトを、必要な労力と価値の観点から順位付けします。

順位の低いものが OKR に含まれていれば、それは現状維持を目標に定めただけだと言えます。優先度の低い目標は取り消して、重要な目標にリソースを配分し直しましょう。

3、意図的に実力を隠す
メンバーの力を結集しなくても OKR をすべて達成できているチームは、リソースを十二分に活用していないか、高い目標を掲げていないか、あるいはその両方の可能性があります。

また、同じ目標(たとえば「顧客満足度が XX% を下回らないようにする」など)を複数の四半期をまたいで設定し続けることもあります。

それが常に優先すべき事柄であれば、OKR の目標として問題ありません。ただし、チームが革新を続けて効率を向上させていくためには、成果指標を発展させていくことが必要です。

4、目標の価値が低い
OKR では、明確なビジネス上の価値を示すことが不可欠です。そうでなければ、目標達成に向けてリソースを投入する必要はありません。

目標の価値が低いと、たとえそれが完全に達成されたとしても組織に大きな違いは生まれません。

合理的な状況で OKR を 100% 達成できたと仮定して、組織に直接利益がもたらされないようであれば、具体的な利益に焦点を絞って OKR を作成し直しましょう。

5、目標に対する成果指標が不十分
特定の目標を達成するために必要なことがすべて成果指標に盛り込まれていない場合、その OKR では予想外の失敗が起きる可能性があります。その結果、リソースの必要性や、OKR のスケジュールの遅延に気付くのが遅れることにもつながります。

設定したOKR が不適切な場合、戦略に混乱を招き、社内指標が形骸化し、チームの心理が現状維持に傾く恐れも出てきます。OKR を設定する際は、次のような回避すべき落とし穴に注意しましょう。

■まとめ
OKRとは「目的(Objectives)と重要な結果指標(Key Results)」の略称であり、企業の目標と、部署、個人の目標をリンクさせ、達成するべき指標を明確にするという目標管理の仕組みです。

創業当初のGoogleで採用されたこの強力なこのOKRという仕組みは、facebook、Oracle、Twitter、など米国企業で多く採用されているほか、日本でもメルカリ、サンサンなど、採用する企業が増えてきています。

OKRの導入時の最重要ポイントは、目標 (Objectives)の設定です。 OKRを導入する理由、会社の将来ビジョンなどを慎重に検討した上で目標を決めるべきです。

経営陣だけで会社の目標を決めるのではなく、社員からのOKRに関する提案を募り、そうした提案も参考にして設定することが望ましいでしょう。目標設定が完了したら、次は各目標に対応する成果指標 (Key Results)を決めます。

■最後に
OKRを導入・運用することで会社全体に一つのチームとしての意識が生まれ、社内の協力体制の強化やコミュニケーションの活性化、情報共有の円滑化といった成果が多く報告されています。

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本田季伸のプロフィール

Avatar photo 連続起業家/著者/人脈コネクター/「顧問のチカラ」アンバサダー/プライドワークス株式会社 代表取締役社長。 2013年に日本最大級の顧問契約マッチングサイト「KENJINS」を開設。プラットフォームを武器に顧問紹介業界で横行している顧問料のピンハネの撲滅を推進。「顧問報酬100%」「顧問料の中間マージン無し」をスローガンに、顧問紹介業界に創造的破壊を起こし、「人数無制限型」や「成果報酬型」で、「プロ顧問」紹介サービスを提供。特に「営業顧問」の太い人脈を借りた大手企業の役員クラスとの「トップダウン営業」に定評がある。

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