UV塗装天然木化粧板による市場創造
[製品開発の着眼点]
関与先は天然木化粧板を製造加工する中小企業である。昨今住宅業界において主たる素材が塩化ビニルシートになっており、アレルギーやシックハウス症候群の原因となっている。またウレタン塗装ではシンナーを使い、乾燥時間が長い為に生産効率が極めて低い現状となっていた。
そこで安価な普通合板にUV塗装(光触媒)を施すことで無害化とスピード生産を図り、更に難燃性塗料を塗布することで火災対応を図った。
[開発の苦心点]
従来のUV工法ではウレタン工法と違い、シンナーを使わない設備投資が高額になることがネックであった。また速乾性である為にやり直しが効かないなどのデメリットがあった。
[課題クリアのシナリオ]
一定の設備投資は必要になるものの、塗料の改造並びにロールコーターを軸とする工程ラインを改造することにより、従来のリードタイムを3倍向上することに成功。また設備投資に必要な資金をものづくり助成金で補完した。
プロ野球球団とのタイアップによる製品開発
[製品開発の着眼点]
関与先は特許技術により天然芝を製造販売する中小企業である。ゴルフ場の芝生等は30㎝角の切り芝を地面に活着するやり方が主流であるが、根が地面に活着するのに数か月という時間を必要とする。しかし同社の製造工法は根を切らずに生かしたままフィルム上で栽培する為に面が繋がった状態で出荷でき、活着も早いという優位性を保有していた。しかし不確かな行政の土木工事への入札を当てにしており業績が安定しなかった。
そこでこの固有技術の裾野を広げるためにBtoC市場への参入を図ったものである。
[ブランド化のステップ]
それまで甲子園球場等と取引があったものの、あくまで芝生修繕の下請けに甘んじていた。そこでプロ野球球団のブランド力を活用することを思いつき、球団とのタイアップ交渉を行った。球団のグッズ販売サイトをはじめ、グッズショップに協力を仰ぐと共に自社でも独自にサイトを立ち上げて球団ファンをターゲットに拡販を図った。
[取組の成果]
生き物を扱うということで当初球団側に抵抗があったが、衛生上のリスクや返品対応はこちらが全て担保することを約束し締結に漕ぎつける。運営開始してから徐々に問い合わせが増え、球団の芝生を自宅の庭先に植えたいという個人客が増加し始めた。その後、ブランドがない芝生に対しても個人客から引き合いが増え始め、1年後には通販が売り上げの3分の1を占めるまでに成長した。
滑る特性をフルに訴求しBtoBからBtoCへ
[製品開発の着眼点]
関与先は生分解性を有する潤滑油を開発するベンチャー企業である。当初はマシナリー分野に注力し、特にチェーン業界への売り込みを主体にしていた。しかしながらスペックは認められるものの大手企業が得意先である為遅々として導入が進まなかった。元々資本力のないベンチャーであった為時間との闘いでもあった。
そこで創業者と知恵を出し合いBtoCの方向性を模索、「滑る」「環境に優しい」をコアに据えて大手釣り具メーカーに売り込んだ。
[交渉の経緯]
売り込むには自社製品が優れていることを証明しなければならない。カタログによる数値説明だけでは説得力が弱い。そこで相手側製品によりテストを依頼した。具体的には海釣り用のルアーに潤滑油を添加した場合とない場合で飛距離テストを行ったものである。プロに実験を行ってもらった結果飛距離が1.2~1.5倍伸びることが判明した。巻き取りもスムースになりスペックインに成功した。
この顧問の人脈
顧問本人 業種:金融・保険
顧問本人 業種:コンサルティング・リサーチ・専門事務所
顧問本人 業種:金融・保険